2014年6月、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は、首相など7閣僚と青瓦台(大統領府)の一部首席秘書官の刷新人事を発表した。

 日韓のメディアの話題の中心は圧倒的に、日本の植民地支配や慰安婦問題についての過去の発言などで話題の文昌克(ムン・チャングク=1948年生)氏首相指名の人事だが、産業界の注目は経済副首相の交代だ。やり手の現職国会議員の発言にも大きな注目が集まっている。

首相人事の迷走が話題をさらっているが・・・

朴韓国大統領、2人目の首相候補も批判集中で窮地に

韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は、政権発足後初の内閣改造に踏み切る〔AFPBB News

 朴槿恵大統領は6月10日に、大手紙「中央日報」の主筆などを務めた文昌克氏を首相に、駐日大使の李丙琪(イ・ビョンギ=1947年生)氏を情報機関である国会情報院の院長に指名した。

 さらに13日には、経済副首相兼企画財政相のほか、安全行政相、未来創造科学相、雇用労働相、教育相など7閣僚の交代人事を発表した。

 今回の人事は、政権発足後、初めての大規模な閣僚人事だ。併せて青瓦台の一部首席秘書官も交代させた。また教育相には新設する社会副首相も兼務させることになった。

 人心一新で、セウォル号事件の対応を巡って噴出した政府批判をかわす狙いだった。ところが、首相人事については、いったん指名した元の大法官(最高裁判事に相当)出身弁護士が個人的な問題で「指名辞退」に追い込まれた。さらに文昌克氏に対しても野党だけでなく、与党内からも批判が起きてしまった。

 韓国の政界は、首相人事で大騒ぎだ。首相人事は国会の同意が必要で、この関門を通過できるのかどうかが最大の焦点なのだ。

 だが、産業界に目を移すと、注目の的は、何と言っても新たに経済副首相兼企画財政相の指名を受けた崔炅煥(チェ・ギョンファン=1955年生)氏だ。

 一体どういう人物なのか。

産業界の注目の的の新経済副首相はどんな人?

 崔炅煥氏は、保守の地盤である韓国南東部の慶尚北道出身で、大邱(テグ)高校から延世大学に進学し、経済学を学んだ。上級国家公務員試験にあたる行政高試に合格し、経済企画院などで経済官僚の生活を送った。途中、韓国の高級官僚が多く留学することで知られる米ウィスコンシン大学で経済学博士号を取得している。

 経済官僚としての生活に飽き足らなかったのか。40代半ばで韓国経済新聞で論説委員などを務める。ある韓国紙デスクは「メディアでずっと仕事をしようというよりも、すでに政界進出を考えていた」と語る。