週刊NY生活 2014年6月7日492号
ワシントンDCにある経済政策研究所が行った米労働局の統計に基づいた分析データによると、2013年に大学学位を持っている人は持っていない人と比べ平均時給は98%高かった。
1980年代初頭で64%、10年前で85%、5年前で89%と高卒と大卒の賃金格差は倍近くに拡大している。
学位を持っているか持っていないかの差は歴然としており、大学中退者の平均時給はこの30年あまり高卒の1.1倍前後の横ばいでほとんど変化がないのに対し、大卒は高卒に比べ1980年の1.4倍から2013年の1.8倍と右肩上がりとなっている。
景気が後退し、企業が求める大卒が必要以上に供給過多であれば、この格差は縮小するとされてきた。しかし近年は大卒が増え続け景気後退に見舞われても学歴による賃金格差が広がっている。
この現象についてマサチューセッツ工科大学(MIT)のエコノミスト、デイビッド・オーター氏は「(それでも)大卒数が少な過ぎる。大学に入ろうとする人も少な過ぎる」と話す。
オーター氏らの計算によれば大学学位を得るためのあらゆる費用すべて入れると1人50万ドルになるという。これは30年前の2倍となっている。
現在、学生ローンなどの負債は全米でその総額はおよそ1兆ドルにも及ぶ。相当の出費を強いられるため、それに見合う価値があるのかとしばしば疑問視される。
しかし4年生大学の卒業時の負債は1人平均2万5000ドルであり、25歳から35歳の大学卒者の今年4月の失業率は3%で、全米平均の6.3%に比べ半分以下となっている。
(週刊NY生活・本紙記事の無断転載を禁じます。JBpressでは週刊NY生活の許可を得て転載しています)