TPPで押し寄せる外国産食品、
安全確保の砦となる国際協定とは

輸入食品はどこまで安全なのか(後篇)

2014.05.23(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要

 野菜、穀類、海産物、加工食品と、私たちが毎日のように何らかの形で接する機会のある輸入食品。その危険性と安全性を前後篇にわたり見つめ直している。

 前篇では、輸入食品をめぐる最近の実状を紹介した。「中国産冷凍ギョウザ事件」などで安全性が心配されるようになった中国産輸入食品は、最新2012年のデータでは、輸入量が多いため違反件数は国別で最多だったものの、違反率は平均を下回っているといった状況を見た。

 ここに来て大きな関心事になっているのが、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉が妥結した場合、輸入食品をめぐる事情はどう変わるかということだ。4月の日米首脳会談ではTPPに向け「大筋合意」には至らなかったものの、「重要課題について前進する道筋を特定した」との日米共同声明が盛り込まれた。

 TPP交渉で妥結が見られれば、将来、私たちが輸入食品に接する機会は増えることになる。TPP締結を機に「食の安全」が脅かされるのではないかという心配の声も上がっている。

 そこでTPP締結後の食品の安全性について、前篇に引き続き公益社団法人の日本輸入食品安全推進協会に話を聞く。同協会は1992年に社団法人に、そして2011年に公益社団法人に認定された団体だ。輸入食品の安全性確保のため、自主管理体制の確立推進、人材育成、情報収集・提供などに力を入れている。

 TPPが締結された場合、日本人が口にする食品の安全性はどうなるのか。輸入食品は大丈夫なのか。その見通しを、同協会常務理事の鮫島太氏と元常務理事の佐藤勝也氏に聞いた。

SPS協定によって自国の安全基準は守られる

──TPP交渉が妥結し、TPPが締結された場合、日本での輸入食品の安全を守るための状況も変わってくるのでしょうか?

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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


食の万華鏡

食の安全に対して国民の関心が高まっている。今後、安全で美味しい食の供給国としての日本を考えた時にもこの問題は重要になる。食の安全の話題を中心に、食トレンド、食品マーケットなど、食にまつわる様々なテーマを取り上げる。