森林資源の消費量が如実に示す世界の構造変化

板紙に見る「世界の工場」は中国、タイ、韓国・・・

2014.05.14(水) 藤原 秀樹
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森林資源を最も多彩な姿で提供してきた紙パルプ産業の構造的な変化とその背景について、前回の「世界の古くて新しい資源、森林の利用に異変」では、世界の紙・板紙の生産量は、2000年以来あたかも中国のみが増加したかのように見えることを述べた。

 実際には、中国以外の発展途上国も伸びているが、その増加分が先進国の減少分と、偶然にも同程度の2700万トンであったために起こったことである。2000年から2012年まで、中国の紙・板紙生産量は約3000万トンから1億トンに、飛躍的に増加した。

板紙市場の推移から見えてくるもの

 まずは、板紙*を比較しよう。米国、EU、日本、中国の消費量の比較をしてみる。紙の生産量と消費量はそれほど違わないが、市場の変化を見るために、より正確に消費量を用いる。

*板紙:主に紙器や包装に使用される厚手の紙

 中国のGDP(国内総生産)は2000年が1兆2000億ドルで2012年には8兆2000億ドルと、およそ7倍弱になっている。一方、板紙消費は2800万トンから7700万トンとおよそ2.8倍である。この伸び率をどう見るかは、後で考察したい。

 図1のように、米国、EU、日本に関しては、板紙の消費量は10年以上にわたり大きな変化はない。しかし、経済は変化している。

 米国のGDPは2000年には10兆ドルであったが、2012年には16兆ドルに上昇している。EUもこの間で上昇している。日本は2000年で4.7兆ドルが2012年で5.9兆ドルとそれほど伸び率は大きくないが増えている。

 つまり、先進諸国では、経済が停滞しようが、発展しようが関係なく板紙の使用量は一定だった。一方、中国の伸びは順調だった。図2に、2012年の1人あたりの消費量をプロットしてみた。

 この1人あたりの板紙年間消費量であるが、私たち日本に住む者にとっては、ここ十数年変わりがなく、納得のいくものだろう。米国はやや日本より多い。生活スタイルの違いなどの差であろう。EUは今やギリシャ、ポーランドなどを含み、日本より使用量が少ないのもうなずけるが、フランス、英国のようにもともと100Kg/年の国もある。

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藤原 秀樹 Hideki Fujiwara

 

カーボンニュートラル資源研究所 代表

慶応義塾大学工学部卒・同大学院修了後、十條製紙(現・日本製紙)入社。

米国・ウェスタンミシガン大学留学。工学博士。

日本製紙・取締役・研究開発本部長、関係会社役員を歴任。

TAPPIフェロー(米国紙パルプ技術協会名誉会員)、TAPPI 塗工部門技術賞 (アジア初)

東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部・非常勤講師、タイ国アジア工科大学院・客員教授

米国紙パルプ技術協会・国際研究管理委員会 委員(副委員長)
マルクス・ヴァレンベリ賞(スウェーデン)選考委員会・アジア地区大使を経て、現在は選考委員会のシニアアドバイザー

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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