大阪・梅田のオフィスビルの一室には、沖縄本島の北西部にある離島・伊江島からわざわざ運んできたサトウキビが大量に積み上げられていた。甘いお菓子は大好きでも、砂糖の原料となるサトウキビを見るのは初めてという都会っ子たちが、大きな鎌を手におっかなびっくりサトウキビの葉落としにチャレンジした。

スタッフに手伝ってもらいながら、サトウキビ用の大きな鎌で葉を落とす

 春休み真っ只中の3月28日、アサヒグループホールディングスが運営する「アサヒ ラボ・ガーデン」で開催された親子イベント『サトウキビから「砂糖」と「バイオエタノール(燃料)」をつくってみよう』のワンシーンだ。

 参加した子どもたちは、その後、皮をむいたサトウキビを圧搾機に通してサトウキビジュースを搾り、ジュースを煮詰めたドロドロの液体を遠心分離機にかけて砂糖の結晶を取り出すところまで実体験した。サトウキビ用の鎌や圧搾機、遠心分離機など日頃は見慣れない道具の扱いに緊張気味だった子どもたちも、出来立ての砂糖を口に入れると、「甘い!」「おいしい!」と表情をほころばせた。

葉を落としたサトウキビを圧搾機に通して水分を取り出す

 子どもたちが体験した砂糖作りは、スケールは小さいものの、世界中で長年行われてきた製糖のプロセスそのものだ。ちなみに、サトウキビを原料とするお酒としてはラム酒や黒糖焼酎が広く知られているが、これらは、サトウキビジュースや砂糖を取り出した残りの糖蜜に酵母を加えて発酵・蒸留させてつくられるものだ。さらに近年、地球温暖化問題が深刻化する中、サトウキビを嗜好品としての酒に加工するだけではなく、バイオ燃料として活用する取り組みも活発化している。

 「ビール事業を主力とするアサヒグループがなぜサトウキビのイベントを?」と不思議に思う方もいるかもしれないが、実は、アサヒグループは「サトウキビを原料に、砂糖の生産性を飛躍的に高めて、かつ、効率よくバイオエタノールを生産する」ための従来の方法とは異なる世界初の技術を開発し、世界中から注目を浴びているのだ。