2014年2月、浙江省の省都、杭州市で住宅の販売価格が下落した。複数の新規分譲マンションで、平米単価が下がったのである。浙江天鴻房地開発有限公司が販売する「天鴻香榭里」は、平米単価が3割下落し、また「徳信北海公園」でも2割下落した。
事前に高い価格で購入していた所有者は「買った住居を買い取れ」と、販売センター前を占拠し、横断幕を張って騒ぎ立てた。資産価値の下落に怒り狂う既購入者たちの襲撃を受け、販売センター内の住宅模型が壊されたところもあった。
中国全体で新築住宅価格の上昇率が鈍化
中国では、住宅の値下げ局面は過去にも何度か存在した。中央政府のマクロ調整策と不動産価格の上下動はリンクしている。住宅価格の過度の上昇を抑制するために中央政府がマクロ調整策を導入すると、デベロッパーは販売戸数を減少させ、値引きを始めるのである。
こうしたパターンは2000年代から現在に至るまで何度か繰り返された。近年では2011年に、政策導入をきっかけに不動産価格が顕著に下落した。
その影響で、2012年は「不動産市場は冬の時代」と言われたが、2013年になると、中国不動産はまたしても価格上昇に転じた。同年の中国70都市の住宅価格の上昇は、前年対比9.7%。投機的購入を抑え融資を制限する政策を継続させているにもかかわらず、2010年に記録した“歴史的最高水準”にまで戻ってしまった。
しかし、今年に入り変化が表れる。上昇率の鈍化だ。中国の70の大中型都市の新築住宅価格は、1都市を除いて1月、2月とも前年に比べ上昇しているが、上昇率は2013年12月をピークに2カ月連続で鈍化している。
こうした変化は、マクロ経済に翳りが見えていることに加え、銀行が融資を絞ったことが大きく影響したと見られる。