週刊NY生活 2014年3月22日483号
3月末ともなるのにコートが手放せない日が続きます。でも「三寒四温」と昔から言うように、ゆっくりと春が近づいています。春の訪れを一番実感するのは、グリーンマーケット。パンジー、チューリップ、ヒヤシンスと花盛り。楽しそうなミツバチのダンスが目に浮かびます。
今月のグルメ探検隊が訪ねたのはユニオンスクエアのグリーンマーケットで大人気! 蜂蜜男アンドリュー・コーテさんです。
祖父の代にカナダからコネティカット州に移民。ファミリービジネスを継ぐ四代目養蜂家であるアンドリューさんの巣箱(Beehive)はマンハッタンやブルックリン、ブロンクス、クイーンズなどニューヨーク市内に約50か所、ウォルドルフ・アストリア・ホテルやブルックス・ブラザーズの屋上にもあります。
クリントン元大統領はアンドリューさんのそばの花(バックウィート)蜂蜜が大好き。オバマ大統領とミシェル夫人、ふたりのお嬢さんもアストリアホテルの蜂蜜を体験、ル・サークやブルーヒル、ノマドなど市内の有名レストランでも使われています。
午前4時には起床。夜明けとともにローワー・イーストサイドのアパートを出発。市内ルーフトップやコミュニティーガーデンにある巣箱をチェックして回ります。
ミツバチがごきげんに活動しているか、何か異常はないか。一つひとつ丁寧に確認。蜜をたたえた巣枠を遠心分離機にかけ、搾蜜、ロウを漉して蜂蜜の出来上がり。アンドリューさんに蜂蜜についての素朴な疑問をぶつけてみました。
▽NYC産の蜂蜜はニューヨーカーの花粉症に効くってほんと?
もちろん。蜂蜜にはごく微量の花粉が残っているから、毎日摂ることによって耐性ができるんだよ。
▽花によって味は違うの?
シティー産の蜂蜜のほとんどは野草から採れたもの。花の蜜によって味も色も変わる。とくにニューヨークはその周期が早いね。
▽ラベルに「Raw」って書いてあるけど、蜂蜜ってそもそも生でしょ?
市販のものは長持ちさせるために加熱処理しているのさ。僕の蜂蜜は非加熱、つまり「Raw」ってこと。だからビタミンやミネラル、アミノ酸、酵素など栄養たっぷり。蜂蜜は古代エジプトで、やけどのぬり薬にも使われたように、強い殺菌作用もあるんだ。