インドは世界最大の民主主義国だ。人口12億にも上る国で粛々と選挙が行われ、その結果、大した混乱もなく政権が交代する。
この5月に行われる選挙では、与党の国民会議派が敗れてインド人民党が勝利すると予測されている。インド版の橋下徹大阪市長とも言われる改革派のナレンドラ・モディ氏(現グジャラート州知事)が新たな首相になると下馬評がもっぱらだ。
中心部は近代的な都市の様相だが・・・
3月、インド南部のバンガロールを訪れる機会があった。インド南部は北部に比べて豊かであり、進んだ地域とされる。その南部でも、バンガロールはコンピューター産業が発達した都市として有名だ。
街の中心部には高架鉄道の建設が進んでおり、一部は既に開業している。ただ、工事の進展ははかばかしくない。筆者は3年ほど前にもバンガロールを訪問しているが、その時と比べて開業区間が大幅に増えたわけではない。
中心部には高層ビルが林立し、近代的な都市の様相を呈している。しかし、そのような区域はほんの一部でしかない。大半は薄汚れた商店や貧しそうな住居が立ち並ぶ昔ながらのインドの街並みだ。周辺の農村はもっと貧しい。とてもBRICSの一員として経済発展を謳歌している国には思えない。
確かに、一昔前に比べて道路の舗装は進み、自動車の数も大幅に増えた。牛が引く荷車が泥んこ道をゆったりと行き交う、インドを語るときに必ず思い浮かべるような風景はまず見られなくなってしまった。しかし、いくら道路が舗装されても、その周辺にはあちこちにゴミがうずたかく積まれ、異臭を放つゴミも少なくない。多くの車が行き交うといっても、先進国の風景とはかけ離れている。