前回の記事で「教養を備えたイノベーティブな人材」の必要性に触れましたが(参照:「『グローバル5』の学生を企業が我れ先に狙う理由」)、今回はイノベーティブ人材について考えたいと思います。
日本はイノベーション立国?
2013年に発表されたGEグローバル・イノベーション・バロメーター2013には、世界25市場・3100人のシニアエグゼクティブの回答結果が発表されています。この調査の「当社は破壊的なイノベーションに、これまで以上に取り組んでいる」との問いにイエスと回答した人は、日本では18%と調査対象25カ国中最下位でした。
また「社会全体がイノベーションを支持しており、若い世代にイノベーションへの熱意がある」との問いでは、グローバル平均が77%に対して日本は24%とこちらも最下位でした。
さらにグローバル・イノベーション・インデックス2013では、日本のイノベーション指数ランキングは22位とアジアオセアニア地域の中でも6位と低迷し、以下の推移でも分かるようにほぼ右肩下がりです。
4位(2007年)→ 9位(2008-2009年)→ 13位(2009-2010年)→ 20位(2011年)→ 25位(2012年)→ 22位(2013年)
そして、昨年のMITテクノロジー・レビューで、「World Innovation Clusters」としてイノベーション創出に恵まれた地域として挙げられた場所は、シリコンバレー、ボストン、ロンドン、パリ、イスラエル、スコルコボ(ロシア)、バンガロール、北京と、この中に日本の都市は含まれていません。
しかしながら、2000年以降のノーベル賞受賞者数は、アメリカ94人、イギリス16人、日本11人、フランス8人、ドイツ7人と健闘しているのも事実です。
実社会でもプリウスや太陽光発電、スカイツリー、探査機はやぶさ、Wii、ヒートテック、iPS細胞など様々な分野でイノベーティブな成果は出ています。さらに言えば、例えば丸の内はフォーチュン500(2012年)のうち18社、東証1部上場企業が75社も集う、世界の中でも有数のメガシティ(エリア)でもあります。
にもかかわらず、冒頭のリサーチ結果では日本は必ずしもイノベーティブな国ではありません。
一つには、いまだに科学技術立国と表現していることが象徴的ですが、日本ではイノベーションを「技術革新」と捉える風潮が根強いことにも起因しています。確かに科学技術分野では先行しているところもあるでしょうが、イノベーションという用語が意味する分野はもっと広いものです。