中国で、ニコンのデジタル一眼レフカメラ「D600」の欠陥問題が大きく取り上げられた。

 3月15日、中国国営中央テレビ(CCTV)が放送した特別番組「3.15晩会」は、撮影した画像に黒点が写るというD600の欠陥について特集した。同番組は、全国のニコンユーザーへの取材を通して、ニコンのアフターサービスの問題点を紹介した。

 番組の中で、中国のユーザーは黒点について「何度クリーニングしても改善しない」ことを繰り返し訴えた。こうしたユーザーの困惑に対し、番組に登場したニコンの窓口担当者の対応はいささか開き直りを感じさせるものだった。「レンズ交換のときについた埃では?」といったコメントもあれば、「大気の汚れではないか」と昨今の中国の公害が原因だとでも言いたげな発言もあった。

3月15日は外資系企業を叩く日

 「D600」は、ニコンのタイ工場で生産され、世界各国へ出荷されている商品だ。同機種は2012年の発売以降、日本やアメリカでも同様の問題が発生しており、国際標準でのアフターサービス規定に基づいて無償でクリーニングや交換に応じてきた。結局ニコンは2013年10月にD600の後継機種を発売している。

 同社中国法人は、D600を発売してから5カ月後に、無償での点検や交換といった対応を開始した。そして今年の3月16日、上海市工商局はD600の発売停止を命じた。これを受けて3月17日、ニコンは中国現地法人のホームページ上で謝罪文を公表するとともに、「保証期間内に故障すれば2回の修理ができ、それでも改善しない場合は交換できる」という中国の法律に基づき、新品との交換に応じることを発表した。

 ニコン側は、「大気のせいだ」などといった中国法人のアフターサービス窓口の発言について、「当社のあるべき教育ではない」と非を認め、改善を目指す一方で、欠陥への対応については「どの国でも同じ対応をしていく」と強調した。