AsiaX(アジアエックス) 2014年02月17日
ニュートンサーカスからブギス方面へ少し進んだあたりのブキティマ・ロード沿いに点在するショップハウスのひとつに、シンガポール生まれのジュエリーブランド「Carrie K.」のアトリエ兼ショップがある。
シンガポール国内だけでなく海外からも注目を集めるこのブランドの創設者でありデザイナーでもあるキャロリン・カンさんに話を聞いた。
広告代理店社長からの転身
イギリスの広告代理店M&Cサーチのシンガポール現地法人をマネージングダイレクターとして1998年から10年間率いたキャロリンさんは、1年間の休暇を取ると、念願だったイタリア旅行へ。
フィレンツェの銀細工工房で初めて指輪作りに挑戦した時、職人の手仕事の素晴らしさに感動。「次に自分がやりたいことはこれだ」と心に決めた。
キャロリンさんがフィレンツェで特に感銘を受けたのは、熟練の職人の持つ芸術的な技の素晴らしさだけでなく、現地での評価の高さだった。
「職人たちが手作りで丁寧に仕上げたものがとても大事にされていました。その職人技が、伝統の中だけでなく今のスタイルの中でも評価される形を作りたかった。そこで、現代的で皆が身に着けたくなるようなデザインと、職人たちの高度な技をうまく組み合わせて、遊び心いっぱいの楽しいジュエリーを作りたいと考えました」
シンガポールに戻った後、2009年7月にジュエリーブランド「Carrie K.」を設立。また、南洋芸術学院(NAFA)でジュエリーデザインを学び、専門知識を修得した。同時に、宝石や金属など素材についても勉強し、材料の仕入れ先や制作に関わってもらう職人を探すために世界各地をめぐった。
職人たちとの出会いの多くは、彼女の考えを知った人達からの口コミ。「おかげで、銀細工職人はタイと香港、革職人はトルコとイタリア、と世界各地のスペシャリストと出会うことができました」。
楽しさと、驚きと、遊び心のあるデザインを追求
Carrie K.のジュエリーやアクセサリーのデザインは、これまでの常識とはちょっと異なる斬新なものが多い。例えば「Reborn(再生)」コレクションのモチーフは身の回りにあるごくありふれたもの。
釘や安全ピンをぐるりと丸めた形の指輪やピアス、紐を結んだ形のブレスレットやイヤリングなどだ。身に着けている姿を見れば、誰もが思わず目を留めるだろう。