韓国と北朝鮮、南北高官協議を開催

就任から丸1年を迎えた朴槿恵(パク・クネ)大統領〔AFPBB News

 2014年2月25日は、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が就任してからちょうど1年にあたる。1年前の就任式と同じような緑色の服に身を包んだ朴槿恵大統領は午前10時からテレビカメラの前に立ち、40分以上にわたって「対国民談話」を発表した。

 朴槿恵大統領の仕事ぶりについては、韓国内では高い評価を得ている。支持率はどの調査でも60%近くに達し、歴代の政権と比べても高い。

 最も高い評価を受けているのが、対北朝鮮政策だ。「妥協せず」「原則死守」。朴槿恵大統領のこの一貫した姿勢が、高い評価を得ている。2013年2月に南北離散家族の会合が再開したが、これも基本的には「条件なし」を北朝鮮に受け入れさせた。「ぶれない」が選挙期間中から最大の売り物だ。

 一方で、原理原則を貫くのはよいが、国民とのコミュニケーション能力に欠けるという批判もある。また、経済政策については、政権発足1年しか経っていないとはいえ、「目立った実績がない」という不満も多い。

大統領の「弱み」とされるコミュニケーションと経済を重視したが・・・

 このあたりを意識したのだろう。朴槿恵大統領は、就任1年目にあたるこの日、テレビの生放送で国民に直接語りかけることを選んだ。内容も「経済革新3カ年計画」。経済について国民に分かりやすく語りかけるという狙いだった。朴槿恵大統領の「弱み」とされる「コミュニケーション」と「経済」を重視したのだ。

 狙いは正しい。だが、筆者もテレビ中継を見たが何かしっくりとこなかった。なぜか。疑問の1つ目は、どうして午前10時なのか。歴代の韓国大統領もなぜか、平日午前中の会見が多かった。準備をする方から見れば最も都合の良い時間かもしれない。取材陣も、締め切りまでたっぷりと時間がある。

 でも、一体、誰が見るのか? 筆者の周辺でもこの生放送を見ていたのは、政府関係者とメディア関係者を除いて誰もいなかった。

 もう1つは、40分以上にわたって大統領がカメラに向かって一方的に話す方式。朴槿恵大統領はそれが性格なのだろう。その間、ひと言もジョークを挟まない。これでもか、これでもか、と政策について語りかける。中身は立派だし、大統領の熱意は十分に伝わってくる。でも、熱心に見ていた筆者でも途中で苦しくなってきた。笑顔一つなく、大統領がただひたすら画面で訴えてくるのだ。

 コミュニケーション能力に問題があると言われるのに、どうして周辺の誰ももっと大統領に助言しないのか。あるいは、大統領がこういうスタイルにこだわるのか。

 ただ、演説内容は、参考になった。とにもかくにも、韓国の大統領が40分以上も経済革新計画について語るのだ。この演説のために、どれほどの専門家が動員され、どれほどの参考資料が作成されたか。韓国メディアは、財政経済部は、300ページもの資料を用意していたという。今の韓国経済の課題を勉強するには、もってこいの演説だった。