ビール無料の対象を「21歳」に絞ったのはなぜか

 『マジ!』シリーズにおいて重要なのは、無料対象となる年齢の設定だ。例えば『ビアマジ!21』では、まず「30歳を超えると飲酒スタイルが変わらない」という調査結果が基本にあった。その上で、社会人に「ビールを美味しいと感じた時期」を尋ねると、「大学3年時」と「大学4年時」という答えが24.3%で最多となった。

 この結果を基に、ビールを美味しいと思える可能性が高い最初のエントリー年代である「21歳」を対象年齢に決めたという。

 『雪マジ!19』や『Jマジ!20』も、対象年齢を決める際には同様の調査が行われた。たとえば『雪マジ!19』については、スノーアクティビティのエントリータイミングを調べた結果、19歳に焦点があてられたという。

 「『21歳』や『19歳』など、対象年齢を1つに絞ることも大切だと考えています。若者の情報流通は、その多くが同年代からの口コミ。ですから、より誘いやすいシンプルな設定が必要だと思いました。『21歳だけ無料』『19歳だけ無料』という趣旨は、分かりやすさと明確さが前提。特に学生は、基本的に同年齢の集団で生活していますから。また、年齢の限定という部分で、『いつかやりたい』ではなく『今、やろう』と同学年を誘う動きも生まれやすいと感じました」(同)

 実際、『雪マジ!19』の認知経路は、約8割が口コミだったという。ツイッターなどのSNS上でも、同年齢の友人を誘っている様子が散見される。

 加藤氏は、「無料」をキーワードにした『マジ!部』というアプリを立ち上げ、今後様々なジャンルで若者の体験機会を創出したいと考えている。

 「18~24歳の時期は、まだ価値観が固まりきっていない頃。しかも自由に使える時間や、新しいことにトライする意欲を持っています。そのため、この年齢で、いい体験や趣味に出合えると、それを長く愛好する傾向にあるんですね。だからこそ、その年齢層に対して無料で何かを提供し、様々な体験をしてもらうことが大切だと思っています」(同)

 20代前半までの体験が、その後の人生に大きな影響を与えることは間違いない。必ずしも金銭的に余裕のないその時期に、多くを体験できることは若者にとって貴重になる。「無料化」から生まれる若者とのマッチング機会は、その後の人生に対しても意味を持つと言えるだろう。