「21歳であれば、都内対象の118店舗(2月3日時点)においてビール1杯が無料になる企画です。無料というきっかけによって、飲み慣れる機会を作るのが大きな目的。“0円”というお得さや、様々なジャンルの100店舗以上の飲食店からゲーム感覚で行ってみたい店を探して訪れ、1軒1杯ずつ、何軒かでビールを飲んでもらえれば、美味しさや酒場の魅力に気付く若者も増えてくるはずです」(同)

 この企画により、ビールと若者のマッチング機会が増えることが想定される。それだけでなく、店舗と若者のマッチング機会も創出されると考えられる。

 「対象店舗には、老舗の焼鳥屋や昔ながらの赤提灯がかかっているような居酒屋なども数多く含まれています。そういった店舗も、若者は『最初はなかなか入りにくいけど、一度入るとハマる』要素がありますよね。ビールと共通で、そういった店舗の魅力を知るまでのきっかけにもなると考えています」(同)

 継続して飲み続ける動機を、「無料」で作り出す。それにより、ビールや店舗と若者のマッチングを創出していく。実施成果を見て、今後も『ビアマジ!21』は行われていく予定とのことだ。

スキー場とJリーグは、すでに「無料化」で成果

 無料を軸に若者のマッチング機会を作る試みは、実はこれが初めてではない。リクルートライフスタイルでは、19歳なら指定スキー場のリフト券が無料になる『雪マジ!19』と、20歳ならJ1・J2の全試合が無料で観戦できる『Jマジ!20』を実施してきた。

 2011年からスタートした『雪マジ!19』は、昨季、約11万人が会員になり、これを利用して、延べ34万人以上がスキー場へ出かけた。『Jマジ!20』も、昨シーズンの途中からの開始でありながら、2万人を動員した。『ビアマジ!21』は、この2つと同様のコンセプトとなっている。

 これら一連の企画を実施したのは、事業創造部 主席研究員・加藤史子氏だ。

 「スキー場もサッカー観戦も、若者離れが深刻でした。それらを突きつめると、どちらも『楽しさを知るまでに時間がかかる』という共通点があったんですね。スキーやスノーボードは何度か練習する必要がありますし、サッカーも試合を見る中で、次第にルールやチームの選手を知ってくると楽しくなります。ビールと同様で『慣れ』や『時間』が必要。その修業期間のようなものを、『無料』で乗り越えようという考え方です」

 無料をきっかけに慣れてもらい、楽しさを知ってもらおうというのが、3つの企画の共通テーマだった。