米IDCの最新の調査リポートによると、中国におけるスマートフォンの出荷台数が約2年ぶりに減少に転じたという。

米グーグル、モトローラを中国レノボに売却 2980億円で

中国レノボによる買収が発表された米モトローラ・モビリティの低価格スマートフォン「モトG」〔AFPBB News

 同国のスマートフォン出荷台数は2011年4~6月期にいったん前の四半期のそれを下回ったものの、それ以降の9四半期は一貫して拡大が続いていた。

 だが昨年10~12月期の出荷台数は9083万台にとどまり、7~9月期の9487万台から4.3%減少した。

 これまで、中国のスマートフォン市場は高い成長率で伸びており、同国は世界スマートフォン市場の成長エンジンと見られてきた。「そうした中国にとって10~12月の実績は初めてのつまずきだった」とIDCのアナリスト、メリッサ・チャウ氏は指摘している。

「成長減速は一時的なものではない」

 米ウォールストリート・ジャーナルが引用した別のアナリストの見解によると、10~12月にスマートフォンの買い控えが起きたことが要因の1つだという。

 中国では昨年12月に高速な4G(第4世代)通信サービスが始まったばかりで、これが広範な地域に広がるのは今年の年末頃と見られている。

 同国最大の携帯電話会社、中国移動(チャイナ・モバイル)は今年1月から「アイフォーン(iPhone)」の販売を始めた。だが同社の発表によると、4GサービスであるTD-LTEネットワークの対象地域は今のところ、北京、上海、広州、深センなどの16都市に限られ、340都市にまで広がるのは年末頃になる。

 そうした中、消費者は4Gネットワークが十分に整備されるまで、次の端末の購入を控えているとアナリストらは見ている。

 一方IDCのアナリストはこの成長減速は一時的なものではないと分析している。同国スマートフォン市場の爆発的な成長は、今後数年で緩やかな成長へと変化するという。

 「今後は、初めてスマートフォンを購入する顧客を獲得することよりも、毎年既存顧客に対し買い替えを促すという、より時間と労力のかかる作業が必要になる」とIDCのチャウ氏はリポートで述べている。