最近、北朝鮮を巡る米中両海軍のせめぎ合いに注目が集まっている。 米韓海空軍が黄海で予定していた大規模な対潜水艦合同演習に中国から強烈な「物言い」がついたため、演習の時期、場所など詳細の決定が迷走を始めたからだ。
当初予定の6月上旬実施は大幅にずれ込み、最終的には7月21日に訪韓するヒラリー・クリントン国務長官とロバート・ゲーツ国防長官が韓国側と協議した後に決まるという。
この問題は今や通常の合同演習の枠を超え、米中間の機微な政治的懸案となりつつある。
そこで今回は、前回に引き続き、見えそうで見えない米中海軍のせめぎ合いの「続編」を検証してみたい。
米韓両軍の連携の悪さ
ことの発端は5月20日の韓国政府による哨戒艦沈没事件「調査結果」の発表だった。字数が限られる中、現在進行形の複雑な事象を分かりやすくご説明するため、今回はクロノロジーに筆者のコメントと注釈を付す形で書かせていただく。
5月24日 韓国国防相、6月上旬に黄海で大規模な米韓合同演習を実施と発表
黄海(朝鮮西海)での米韓合同軍事演習は当初6月末~7月初めに予定されていたが、5月20日の「調査結果」発表後急遽6月8~11日に繰り上げられたと報じられた。韓国側は北朝鮮に圧力をかけることを狙ったのだろうが、結果的にはこの戦術は失敗だったと思う。
5月24日 韓米連合司令部、合同演習に米空母ジョージ・ワシントンが参加と発表
この発表が今日の混乱を招いた可能性が一番高い。黄海の大部分は公海であり米空母が出入りすることは決して稀ではないのだが、黄海での合同演習に米空母が参加する旨を明確かつ事前に公表した例もあまり聞かない。やはり米韓軍人の「勇み足」だったのか。
6月4日 韓国中央日報、米韓合同演習を突然縮小・延期、中国が反発かと報道
合同演習の延期は6月3日に米側から突然要請され、ゲーツ国防長官もシンガポールで延期を認めたと報じられている。