特集 新都市宣言

まちを挙げてCO2削減を目指す本当の理由

奇跡の環境都市、北九州の半世紀(中篇)

2010.07.23(Fri) 鶴岡 弘之

エネルギー戦略

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東田第一高炉史跡。高炉は一番奥にある。

小倉駅からJR鹿児島本線に乗り、博多方面へ10分ちょっと電車に揺られるとスペースワールド駅に到着する。九州有数のテーマパーク「スペースワールド」(福岡県北九州市)の玄関駅である。改札口を出ると、スペースシャトルの巨大な実物大模型が目に飛び込んでくる。

 ジェットコースターが走る音を聞きながら、スペースワールドとは反対方向に向かう。数分歩くと、これまた背の高い白い塔が線路わきにそびえ立っている。東田第一高炉史跡の煙突と熱風炉である。

 東田第一高炉は、明治時代に富国強兵政策によって建てられた官営八幡製鉄所の高炉だ。1901年に火が入って以来、日本の近代産業の発展と戦後の高度経済成長を支えてきた。72年に火が落とされ、その後、文化財となって保存されている。

 日本の近代化の幕開けを担った高炉は、今は静かにたたずみながら、八幡東田地区の新たな幕開けを見つめている。

最先端技術を駆使して環境モデル都市をつくり上げる

 70年代以降、八幡製鉄所の設備は東田地区から次第に近隣の戸畑地区に移管されていった。その結果、東田地区には約120ヘクタールの巨大な遊休地ができた。

 北九州市はその遊休地を舞台にして、2004年より「八幡東田グリーンビレッジ構想」を進めている。「産官学民が一体となって、環境配備のまちづくりを進める」というプロジェクトである。

 このプロジェクトはなんとも壮大だ。工場跡地を再開発した広大な土地に先進技術をつぎ込んで、世界の最先端を行く環境モデル都市をつくり上げようというのだ。

 八幡東田グリーンビレッジは、スペースワールド、ショッピングセンター、博物館、居住区などから成る。これらの施設全体でCO2排出量を削減すべく、様々な取り組みが行われている。

環境共生型の分譲マンション「リビオ東田ヴィルコート」

 例えば、新日鉄の工場内には、天然ガスによる発電システム「天然ガスコジェネ発電所」が建てられ、工場への熱供給を行うと同時に、3万3000キロワットの電力を東田地区全体に供給している。

 天然ガスは燃やした際にCO2やNOx(窒素酸化物)の発生が少なく、クリーンなエネルギーとされている。また、天然ガスコジェネ発電は熱と電気を同時に発生させるので、エネルギー効率と経済性が高い発電システムである。

 2008年には、スペースワールド駅から歩いて約10分の場所に、環境共生型の分譲マンション「リビオ東田ヴィルコート」が竣工した。天然ガスコジェネ発電による電力の利用、太陽光発電システムの導入、高断熱仕様の採用、「エコキュート」など省エネ型設備の利用、住民向けのカーシェアリングシステムの導入など、環境配備という面でまさに至れり尽くせりのマンションだ。

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