1月5日、バングラデシュで5年に1度の総選挙が行われた。主要な野党は選挙に反発してボイコット。与党が圧勝したが、政情の混乱がさらに深まっている。
バングラデシュでは、アワミ連盟と最大野党のBNP(Bangladesh Nationalist Party)という2大政党による政治的対立が長らく続いた。この対立により、現地日本企業のビジネスは様々な影響を受けてきた。そのため日本企業も、はるか遠いバングラデシュの選挙に高い関心を寄せた。
この1年、BNP率いる野党連合は、総選挙に向けて全国規模で「ハルタル」と言われるゼネストを繰り返してきた。そのたびに、交通機関は全面運休し、商業活動もストップした。日本企業の駐在員や社員は自宅待機となった。日本からの現地視察もスケジュールの変更を余儀なくされるなど、2013年はまさにハルタルに悩まされた年だった。
在バングラデシュ日本大使館は、公式サイトのトップページ上で在留邦人に向けてハルタルに対する注意喚起を何度も繰り返した。
日本人駐在員が「ハルタルがあるからこの国は発展しないのだ」と言うように、ハルタルは地元の経済や社会の発展に深刻な影響をもたらすだけでなく、「外資を遠ざけ、国の発展を阻害する要因」とされてきた。
関係強める中バ経済
だが、ダッカの中国大使館はハルタルを全く意に介していない様子だ。在バングラデシュ中国大使館のホームページを開くと、トップページにはハルタルのハの字もない。
ハルタルには目もくれず、外交や経済、貿易に関する情報が逐次アップデートされ、その情報量も豊富だ。ホームページを見る限り、「バングラデシュの政治の不安定さ」は2国間における経済や貿易、投資を阻害する理由にはなっていないようだ。
それ以上に注目したいのは、近年、中国はバングラデシュにも大きな影響を与えるようになったという点である。
JETRO・アジア経済研究所の幹部は「かつて親中といえば野党のBNPだったが、今ではどちらの政党も中国にすり寄る傾向が強くなった」と語る。親日国であるはずのバングラデシュも、中国依存度を高めているのだ。
中国とバングラデシュの関係を簡単に見てみよう。