新たな1年の始まりは誰でも希望に満ちた明るい未来を願うものだ。しかし、2014年の日中関係は重苦しい空気を背負っての幕開けとなった。

 年末から年明けにかけて、中国では対日批判が高まり、「今年こそは」と期待された日中関係改善もすっかり遠のいてしまった。安倍晋三首相による靖国神社への参拝は、中韓による反発を強めただけではなく、国際社会に驚きと「失望」をもたらした。

ますます遠のいた日中首脳会談

 参拝の翌日に当たる12月27日、中国外交部スポークスマンは「日本の首相の弁解は信憑性に欠け、まともに反駁する価値すらない。昨日(26日)の詭弁のみならず、この1年の様々な言行は虚偽でありでたらめであり、自己矛盾するものだ」と語気を強めた。

 12月30日、在日中国大使館の程永華大使は毎日新聞に「『不戦の誓い』は場所が違う」と題した署名原稿を発表し、安倍首相の靖国神社参拝を強く批判。中国のメディアもこれを紹介した。中国メディアは、「われわれはドイツの政治家が、自らの独特の死生観、宗教観を理由にヒトラーを含む戦争狂が死をもって罪をあがなったとして、墓を建て参拝したといったことは聞いたことがない」という文中の一節を取り上げ、ドイツの戦後処理を間接的に評価した。

 ちなみにドイツ政府のステファン・ザイベルト報道官は、安倍首相の靖国参拝について記者から問われ、「すべての国は、20世紀に発生した残酷な事件で、自分たちがしたことに対して正直に責任を取るべきだ」と忠告を与えた。

 2013年の大晦日、中国は「日本との首脳会談には応じない」「安倍は自分で会談の扉を閉めた」と断じた。新しい年が明けても、この問題はくすぶり続けている。中国のネット上では「戦争」という文字もちらつくようになった。