先週末、ASEAN(東南アジア諸国連合)各国指導者が東京に集まった。
今回は日本・ASEAN関係40周年を記念する意味で「特別」首脳会議と呼ばれた。安倍晋三首相は、内政上の理由で欠席したタイ首相を除く9カ国の首脳と精力的に会合を重ね、対ASEAN外交で一定の成果を挙げたようだ。
しかし、今回の対ASEAN外交は日本だけではない。東京に招かれなかった中国や米国もちゃっかり参画していた。そこで今回は、主として中国の目線で同首脳会議の安全保障面での意味を検証したい。
いつもの通り、以下はあくまで現時点での公開情報に基づく筆者の独断と偏見に満ちた仮説である。
共同声明概要
本稿執筆時点(12月16日現在)で日・ASEAN特別首脳会議の共同声明全文はウェブ上に公開されていない。
仕方がないので、ここでは関連報道に基づき中国関連部分の要旨のみご紹介させて頂く。もちろん、中国関連といっても「中国」なる文言は一部を除き使われていないので、念のため。
●海洋安全保障・協力
海洋安全保障、海上の安全、航行の自由、国際法の原則に従った平和的手段による紛争解決の重要性を強調。日本は南シナ海における行動規範に関するASEANと中国の公式協議を歓迎。
●自由で安全な海洋航行・飛行
空と海でのつながりに関する協力強化で合意。国際法の原則、国際民間航空機関(ICAO)の関連の基準、慣行に従って、上空飛行の自由、民間航空の安全確保での協力強化に合意。
●人道支援・災害救援
災害管理に関する協力を促進する重要性と緊急性を再確認。ASEANは、防衛相を含む非公式会合を主催するとの日本の提案に留意。
●積極的平和主義
安倍首相は、国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の立場から、地域と国際社会の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献していくための安全保障政策について詳しく説明。ASEAN諸国の首脳は、地域の平和、安定、発展に建設的に貢献していくとの日本の取り組みへの期待を表明。