マット安川 ゲストに政治評論家・浅川博忠さんを迎え、安倍政権の1年の歩みを振り返るとともに、話題の秘密保護法案についてなどの話題をお聞きしました。特に、大学の同期という視点からの小泉さんの脱原発の分析は印象的でした。

安倍政権は消費税増税と内閣改造を乗り越えられるか

浅川 博忠(あさかわ・ひろただ)氏
政治評論家としてテレビ・ラジオ、週刊誌などで政治解説、コメンテーターを務める。『小沢一郎 独走す』(東洋経済新報社)、『政権交代狂騒曲』(講談社文庫)など、著書多数。(撮影:前田せいめい、以下同)

浅川 発足して1年、安倍政権はずっと60%前後の支持率を維持しています。私はこの業界に40年いますが、こんなことは初めです。ひとつには民主党の失政の反動ですが、長らく続いた円高デフレに対するアベノミクスの効果が見えつつあることも大きいでしょう。

 これまでは国内向けに景気回復を最優先してきた安倍(晋三首相)さんが、ここに来て日米同盟再構築に向けて動いています。中国との首脳会談はまだ行われていませんが、彼はまずアメリカとの関係修復が必要だと考えている。アメリカによるバックアップを確保してからでないと、中国と向き合う意味がないという思いがあると思います。

 安倍さんは外交、防衛、憲法、教育という、国の根幹となる問題をものすごく勉強しています。特定秘密保護法案にしてもそうした彼の問題意識から発した政策です。ことに今の日本は領土問題などを抱えてもいますから、強硬だと言われても強気で中央突破しているということでしょう。

 安倍政権は来年、2つのハードルに直面します。まずは消費税増税です。8%になったところで景気がどうなるかが焦点になります。もうひとつは6月末の内閣改造人事です。

 自民党には目下、初入閣の権利を持っている議員が衆参合わせて60人いますが、このうち入閣できるのはせいぜい6人。そこで大臣になれなかった人たちが安倍批判に回る可能性があります。消費税率アップと人事問題の逆風をうまく乗り切れないと、内閣支持率がどんどん低下していきかねません。

特定秘密保護法案は「治安維持法」とは違う

 日本は元来、機密というものに対してガードが甘い国です。重要な問題を話せるようにするためにそこを固めてほしいとは、かねてアメリカやイギリスから要請されていました。国際社会での信用を失いかねないわけですから、ことは国益に絡むのです。日米同盟を再構築する上でも入り口として大事な問題です。