毎年恒例のフランクフルト書籍見本市が10月9日から13日まで開催された。今年はブラジルをゲスト国として迎え、約28万人の入場客で連日賑わった。
開会式の席上で、ドイツ図書流通連盟CEOゴットフリード・ホーネフェルダー氏は、「過去3年連続で書籍の総売上高が減少している。
一方、インターネット通販(以下ネット通販)の書籍売上高は、ここ10年ほど毎年10~20%増の高成長を遂げている」と、報告した。
紙書籍と電子書籍がどう共存していくかが問われる現在、ホーネフェルダー氏はドイツ書籍業界の行く先の不安を明かした。
堅調な業績を達成し続けてきた独書籍業界は、今後、欧米間の自由貿易協定で書籍価格の保護が機能しなくなるのではとやきもきしている。
ドイツ書籍業界の現状
まず、ドイツの書籍業界の現状を紹介したい。
ドイツ書籍業界の主軸は、フランクフルトに拠点を置くドイツ図書流通連盟。
この連盟は書籍流通の促進をはじめ、製作部門(出版社)、書籍取次部門、流通販売部門(代理店や書店)を統合し、図書取引事業の利害を代表する団体だ。
1825年に創立し、書籍価格の保護や著作権保護を中心に、国内外の書籍業界の交流を通して民間の立場で意見や提案を政府へ主張し、業界の活性化を図っている。現在、この連盟の加盟者数は、およそ5400。
同連盟によると、2012年の書籍総売上高は、約95億2000万ユーロ(約1兆1768億円)。
前年の売上高は96億ユーロというから0.8%の減少だ。書店での売上高は、約46億ユーロ(約5980億円)。書籍総売上高の50%弱を書店が占めるが、2011年比で3.7%の減少。