オリンピックが、2020年夏に東京に来る。こんなビッグニュースと一緒に踊っている言葉は「経済効果」、そして広告などの業界では「4K8K 高精細テレビ」。明るい話であり、良いことだと思う。事実、過去においても、スポーツイベントがテレビのスポーツ中継を進化させてきた。

メディアの進化とオリンピック

2020年夏季五輪、開催地は東京に決定!

第125次国際オリンピック委員会で2020年夏季五輪の開催地が東京に決定〔AFPBB News

 1964年開催の東京オリンピックでは、1936年のベルリンオリンピックから始まったテレビ中継が格段に進化した。日本国内ではテレビの普及率が87.8%に達し、まさにテレビがお茶の間の主役になる。

 1972年開催の札幌オリンピックは、カラーテレビの普及と時期が同じで、多くの家庭でカラーテレビでのオリンピック観戦となった。

 1998年開催の長野オリンピックではインターネットの活用が進み、結果の速報などもサイトから見ることができるようになった。これ以後、オリンピックの結果はテレビよりもインターネットの方が便利だと思う人も増えたと思う。

 オリンピックがすべての原因ではないが、メディアの進化に少なからず影響を与えてきたと言えるのではないだろうか。だから、今度の2020年東京オリンピックはテレビを高精細にするきっかけになるのでは、という言葉にも現実味はある。

 しかし、ここで冷静に考えたい。もっとメディア全体で、いろいろな変化が起こるのではないだろうか。テレビだけの進化ではなく、すべてのメディアに変化があるのではないか。

 ここですべてのメディアについて考えるのは範囲が広すぎるし、私が詳しくない領域もある。そこで、インターネットの領域で起こる変化に絞って、その変化を想像してみたい。

携帯デバイス普及の影響

 2020年の東京オリンピックは、日本国民にとって時差のない開催とはいえ、自宅のテレビでは見られない競技も多くある。そこで、携帯デバイス(スマートフォンやタブレット端末)で映像を見る行動が今まで以上に普及するのではないだろうか。

 その映像も、ワンセグという放送映像だけでなく、通信映像も多く見られることになるのではないだろうか。

 オリンピックについては、IOCがYouTubeを活用して映像を流している。一方、事業収入に放映権料があることから、今回はこのようなインターネットでの競技映像の送信についても、広告などの取り組みが出てくるのではないだろうか。

 広告の問題は複雑で、東京オリンピックまでに解決されないかもしれない。しかし、視聴者のニーズがあるので、スマートフォンやタブレットなどからの映像の再生回数は、飛躍的に伸びることになるだろう。 そして、この映像は多くが通信回線を活用することから、通信速度の向上にもつながるかもしれない。