かつて自動車産業の都として栄華を誇り、米国の工業力のシンボルでもあったミシガン州デトロイト市が、7月18日、連邦破産法9条の適用を申請した。負債総額はおよそ180億ドル(約1兆8000億円)。米国の自治体としては史上最大規模の財政破綻である。

60年間衰退を続けてきた街

デトロイト市が財政破綻、米自治体では過去最大

財政破綻した米ミシガン州デトロイト市〔AFPBB News

 リック・スナイダー・ミシガン州知事は「60年にわたる衰退を食い止めるときが来た」と語っているが、60年前と言えば、自動車産業が多くの労働人口を受け入れていたデトロイトの人口は180万人(1950年の統計)を数え、米国有数の大都市だった頃のこと。

 それからずっと下降線を辿ってきたことになる(事実、人口は減少の一途だった)。

 そんなデトロイトのニックネームは「モーターシティ」。そして「Motor」と「Town」から作られた造語「モータウン(Motown)」というものもあるが、その名を聞いて思い出すのは、この地で生まれたレコード会社のことだろう。

 1959年、元プロボクサーのベリー・ゴーディ・ジュニアにより設立されたモータウン・レコードには、テンプテーションズ、フォー・トップス、シュープリームス、マーヴィン・ゲイなど、今や伝説の大物たちが名を連ねる。

 まだ黒人ミュージシャンが活躍できる黒人経営の大きなレコード会社など稀だった頃のこと。多くの才人たちがここに集結したのである。

 そして、白人にも黒人音楽の良さを理解させる、人種から解放された音楽を作り出す、というコンセプトが当たり、1960年代、いきなりモータウン・サウンドは全盛を迎えることになる。

 そんなさなかの1967年、デトロイトで大規模な暴動が発生。都市内部で発展から取り残されていた「インナーシティ」の貧しい黒人と白人警官との対立という構図で暴動は広がり、軍隊までも投入されたことで、流血の惨事へと発展していく。

 この時代の空気をビートルズナンバーで語る異色のミュージカル『アクロス・ザ・ユニバース』(2006)には、市街地に戦車までもが投入された暴動鎮圧の様子が描かれ、「レット・イット・ビー」を歌いながら犠牲となっていく少年の姿がある。

 実際、43人の死者、1000人を超える負傷者、7000人あまりの逮捕者を出す修羅場と化したのだった。この暴動は、すでに始まっていた裕福な白人の郊外への流出を後押しすることにもなった。