ニッケイ新聞 2013年7月9日

 米国家安全保障局(NSA)による個人情報収集プログラムの存在を暴露した米中央情報局(CIA)元職員、エドワーズ・スノーデン氏に関する報道が続く中、伯国でも、米本国に次ぐ23億件の電話やメッセージなどの情報が収集されていた事などが明らかになり、アントニオ・パトリオッタ外務相が7日に米国に説明を求めた後、8日には連邦警察や国家電気通信庁(Anatel)も事実関係の解明に乗り出した。

連警なども捜査に乗り出す

 米国が伯国でも個人情報などを集めていた事は8日付グローボ紙が大々的に報じた他、事態を重く見た外務省や通信省などが、7日に米国に真相の説明を求める一方、国内の電話通信関連会社などに情報提供などの事実の有無を確認するなどの対応をとり始めた。

 NSAやCIAは少なくとも2002年まで、ブラジリアに拠点を構えて諜報活動を継続。それ以降については確たる証拠がないものの、宇宙衛星や海底ケーブルを介してやり取りする情報などが収集されていた他、伯国を中継してやり取りする電話やインターネットなどの情報を通して、米諸国の他、イランや中国など、情報が集めにくい国の情報も収集しようとしていたようだ。

 NSAの情報網は、米国内の本部と日本の三沢基地の2カ所を中心に広がり、2002年の時点では、65カ国の首都を含む75都市に特別収集サービス(SCS)を行うエージェントが派遣されていたという。

 SCSのエージェントが派遣されていた都市の中でも特殊なのはブラジリアとニューデリー(インド)で、Fornsatと呼ばれる衛星も使った情報収集活動が本格的に行われていた事が判明している。

 グローボ局もCIAと共同での諜報活動が現在も続けられているか否かを示す文書は入手出来ていないが、NSAによる情報収集は各国にある米国公館を通しても行われていたと見られ、スノーデン氏による告発に続く新しい証拠出現に、伯国政府も厳しい態度を取らざるを得なくなった。

 パトリオッタ外相は、この件を国際電気通信連合(ITU)にも持ち込み、電気通信業務の安全性などについての基準制定などを求める意向で、国連に対しても、情報収集力の濫用や社会ネットワークサービス利用者のプライバシー侵害について、異議を申し立てるとしている。

 米国は他の国々もやっている程度の情報収集活動をしていたのみだといい、伯国からの問い合わせにも公式の返答をしていないが、米国は世界でも最大手のインターネットサービス業者がおり、技術力を駆使し、フェイスブックやツイッターなどの社会ネットワークサービス、固定電話や携帯電話を通じての通信などでキャッチした情報は膨大な量に上っている。

 スノーデン氏の身柄については、ボリビアの大統領専用機の飛行制限問題後、南米の複数の国が亡命を受入れると意思表示をし始めており、世界の警察を任じ、無礼講的な要素もあった米国の立場が微妙に揺れている。(8日付エスタード、フォーリャ両紙、G1サイトなどより)

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