東高西低が常態化し始めたロシアのエネルギー供給

意気軒昂なロスネフチとは全く対照的なガスプロム

2013.07.16(火) W.C.
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7月に入ると、ロシアはもうどことなく夏の休暇モードに入ってしまう、と相も変らぬ表現を毎年繰り返さねばならない。物事が安定しないと見られがちなロシアにあって、これだけは万古不変の真理のごとくだ。経済がどうであろうと、政治が揺らごうと、ひょっとして戦争が起ころうと、・・・休暇は休暇なのだ。

 だから、それを見越して、ロシアの国際経済会議で最も規模が大きいサンクト・ペテルブルグの国際経済フォーラムも例年6月の20日前後に行われて、ロシア経済の前半戦のフィナーレを飾る。

ガスプロムが主役から滑り落ちた初めての年

 エネルギー大国だから、フォーラムの主役はロシア最大の企業ガスプロム、とこれまでなら大体相場が決まっていた。そして、会社法で決算6カ月以内の開催が義務づけられる株主総会となれば、12月決算が普通のロシアで6月末のガスプロムのそれが、全ロシア企業のトリを務めてきた。

欧州への天然ガス供給、再びストップ ロシアとウクライナは非難合戦

モスクワにあるガスプロムの本社〔AFPBB News

 今年は、しかし、ガスプロムが主役の座から滑り落ちた最初の年になるのかもしれない。

 国際経済フォーラムの方は、参加者総数が7000人を越え過去最大であったと主催者側は発表している。参加費を2倍につり上げても、人気は衰えないと言いたいのだろうか。確かに、エネルギー分野では世界の大手メジャーの最高経営責任者(CEO)がほとんど顔を揃えるといった華々しさがまだ続いている。

 その大企業幹部達を前にウラジーミル・プーチン大統領は「世界のエネルギー需給の予見可能性を高めるために国際的な調整機能の存在が求められている」と説いた。

 これはいつもの調子だから、大統領閣下には失礼ながら、まあどうでもよい。どうでもよくないのは、彼に続いてアジア方面でのガスの需給見通しなどに言及したのが、ロスネフチ社長のイーゴリ・セチンだったことだ。ガスのことなら、それはガスプロム社長のアレクセイ・ミレルの役割だったはずなのに・・・。

 こうしてプーチンとセチンが並んでしまうと、今やこのKGB中退組の2人がロシアのエネルー産業を動かしていると、大方は納得するしかなくなるだろう。なにせ、ロスネフチ=セチンの一人勝ちとも言える今回のフォーラムでの赫々たる成果が、それを裏づけている。

 中国石油天然気(CNPC=ペトロチャイナ)を相手に、総額2700億ドルと喧伝される25年間の対中原油輸出を筆頭に、エクソン・モービル他西側主要企業とのオフショア(大陸棚)開発や、エクソン・モービルや日本企業とのサハリン方面でのLNG生産計画で、具体的な合意を次々とものにした。

 加えて、このフォーラムの時期に合わせてサンクト・ペテルブルグでロスネフチは株主総会を開き、その場でセチンが2022年までの10年間で2000億ドルの投資を行い、今後7年間で原油生産量は年間2.2億トンへ、と目一杯風呂敷を広げる。

 そして、彼は言ったものだ、「ロスネフチはロシア最大の納税企業である」。 意表を突いた発言でも何でもない。TVで流されている同社のCM(良くできている、どこの会社か、と皆が注目してしまう)に出てくる台詞を繰り返したまでである。

 重なる他企業吸収合併を経て、今やロスネフチの売り上げ規模はガスプロムに匹敵するまでになり、遂には、「ロシアでオレが一番」と言い始めたのだ。

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大手商社でロシアを長年担当する。

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ロシアは日本の隣国にもかかわらず最も遠い国の1つでもあった。しかし両国間の経済関係が密接になる中で、ロシアを正しく知ることは不可避である。このコラムでは日本を代表するロシアの専門家が様々な角度からロシアと周辺国を鋭く斬る。

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