マット安川 元郵政・総務官僚で官房審議官を歴任、また在タイ王国日本大使館一等書記官の経験もあり、日本を内外から見つめた独自の評論をされている稲村公望さん。

 普天間基地問題で揺れる徳之島の出身で、都心部メディアが伝える情報が地元の動きや流れとは異なる、と、貴重な生情報などをお話しいただきました。

消費税率アップなど言語道断。景気対策が先決

「マット安川のずばり勝負」ゲスト:稲村公望/前田せいめい撮影稲村 公望(いなむら・こうぼう)氏(右)
中央大学大学院客員教授。鹿児島県徳之島出身の元郵政官僚。総務省大臣官房審議官を経て2003年日本郵政公社発足と同時に常務理事に就任、2005年退任。
(撮影・前田せいめい、AFP以外以下同)

稲村 民主党政権は内閣の顔ぶれを少々入れ替えて、なんとか支持率をアップさせました。しかしこの人気が彼らの目論見通り、参院選まで持つとは思えません。

 僕には何より、このタイミングで消費税率引き上げを云々するということが理解できない。今、国民が最も求めていることは景気回復なのですから、まずはそのための対策を講じるべきです。

 増税するのは、景気が上向いて企業収益が改善し、国民の懐が温もってからでしょう。米国ではオバマ政権が盛んに景気対策を打ち出しています。今頃、増税するなどという国は世界のどこを見てもありません。

 ようやく明るい兆しが見えてきたというのに、なぜわざわざストップをかけるのか。これでまた日本経済が停滞してしまうと思うと、とても残念です。

 「取れるところから取る」という安易な姿勢も感心しないところです。例えばメガバンクは、この15年にわたって税金を払っていません。

 赤字なんだから仕方がないと言いながら、一方でべらぼうな高給を食んでいる彼らを放置しておいて、消費税で国民から自動的に金を吸い上げる。あまりにもアンフェアです。

 やるぞ!という雰囲気を国中につくって国民の意欲を励ますのが政治の仕事なのに、これではかえってやる気をなくしてしまいます。

政治家は国の骨格に関わる大きなテーマに取り組むべし!

 期待が大きかっただけに、民主党政権にはがっかりしました。この数カ月、彼らはいったい何をしたと言うのでしょう。もちろん事業仕分けは悪いことではありませんが、聞けば役人がアンチョコを作っていたというではないですか。