ストックホルム郊外で大規模な暴動が発生し、同様の動きが全スウェーデンのいわゆる「移民コミュニティ」に飛び火した。そして現在、国内で大きく議論されていることは「我々の移民統合政策は、失敗だったのか」だ。これは、移民による事件が起きるたびにくり返される議論でもある。

 そして結論的には、「やはり移民統合政策は、失敗だったのだ」という論調が多い。移民統合政策とは、出自にかかわらず社会の成員全員が公平・平等に権利と義務を負う社会を構築することだ。

 いわゆる移民が引き起こしたとされる事件は、数年おきに発生している。

数年おきに発生する移民がらみの大事件

 1998年10月、第2都市ヨテボリで、移民の少年らが満員のディスコの出口で火の付いた新聞紙を放置したことにより大火災を招いた。この時、逃げ場を失った63人の若者が焼死し、数百人が障害を負っている*1

スウェーデンでも若者の暴動、2夜連続

スウェーデンで一番外国人が多いマルメ・ローゼンゴード地区では、過去に何度も暴動が起きている(写真は2008年10月に起きた暴動の様子)〔AFPBB News

 2009年にも、ヨテボリで移民の少年たちによる車両への放火など大規模な暴動が起きている。

 それに続いて、マルメ・ローゼンゴード地区でも同様のことが起きた。同地区はスウェーデン国内でも一番外国人が多い地域で、住民2万2000人のうち86%は「両親が外国生まれ」の人だ。

 彼らのルーツはイラク、旧ユーゴスラビア、レバノンが多い。20~64歳の失業率は38%に上る*2。この地区で生まれ育ったサッカー・スウェーデン代表FWのズラタン・イブラヒモビッチ選手は、自伝の中でここを「ゲットー」と呼んでいる。

 実は、ローゼンゴードでの騒ぎの際、暴動それ自体よりも大事件として認識された問題があった。当時はその隣のルンドに住んでいたのでよく覚えている。

 この時、暴動に加わったとして逮捕された21歳の男性の公判で、警察が現場の様子を撮影した際のビデオを証拠として法廷に提出した。が、このビデオで図らずも露呈したことは、地域住民に対する警察のすさまじい差別意識だ。

*1http://en.wikipedia.org/wiki/Gothenburg_discoth%C3%A8que_fire

*2http://sv.wikipedia.org/wiki/Roseng%C3%A5rd