競争激化のコーヒー市場、最前線を追う

快進撃のスタバ、家庭も主戦場に?

2013.06.07(Fri) 白田 茜
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 カリカリと豆を削る音。香ばしい香り。1日の始まりにコーヒーが欠かせない人もいるだろう。友人との会話、1人のゆったりとした時間、商談、仕事の後のくつろいだ一時。コーヒーはいろいろな場面で日常に溶け込んでいる。

 そんなコーヒーを巡る競争が激化してきている。セルフスタイルで運営するコーヒーチェーン店や、低価格コーヒーを提供するコンビニエンスストアが健闘しつつも、フルサービスの喫茶店が注目を集めている。さらに競争の波は家庭用コーヒーにも押し寄せているのだ。群雄割拠のコーヒー市場を見ながら、今後を展望してみたい。

 なお、本文で言う「コーヒー市場」は、喫茶店、家庭用、缶コーヒーなどコーヒー豆を使用するすべての業態を含む。「喫茶店市場」はフルサービスの喫茶店、スターバックスなどのセルフスタイルのコーヒーチェーンを指すが、コンビニやファストフード店は含まない。

脚光浴びるフルサービスの喫茶店

 かつて主流だったフルサービスの喫茶店が脚光を浴びている。セルフスタイルのコーヒーチェーンの画一的なサービスや客の回転の早さに居心地の悪さを感じる人や、かつてフルサービスに慣れた中高年齢層の人たちが足を運んでいるのだ。

 1968年に名古屋で誕生した「コメダ珈琲店」は2003年から都内に進出。かつて住宅街にあった喫茶店が満たしていた「1人でゆっくりしたい、友人としゃべりたい」というニーズを拾い、一躍人気店になった。

 現在も東海、関東、関西、北陸、近畿とエリアを拡大し続け、2013年5月末時点で全国で497店舖になった。コーヒーチェーンが「駅チカ」などの都心型の立地であるのに対し、同店は郊外型。大半が駐車場を併設した立地で占める。新聞や雑誌などを置き客席のスペースにもゆとりがある。「誰でも入りやすく、ゆっくりくつろげる」という新たな需要を取り込む。

曖昧になるコーヒーチェーンとファストフードの境界線

 ファストフード店も本格的にコーヒー市場に参入した。日本マクドナルドは2007年から、厳選した豆を使用したコーヒー、ベーカリー、デザートを提供する「Mc Cafe」を全国展開している。

 さらに2012年7月、グレードアップした店舗「Mc Cafe by Barista(マックカフェ バイ バリスタ)」が原宿表参道にオープンした。カフェラテSサイズがMc Cafeで190円なのに対し、Baristaでは230円と、若干高めな価格帯だ。だが、専任バリスタが作るエスプレッソベースの本格的な味と落ち着いた雰囲気で客足の取り込みを狙う。

 ファストフードとコーヒーチェーンには、いずれも休憩や食事の需要がある。味とサービス、雰囲気に大差がなければ、顧客はどちらに流れても不思議ではない。

 しかし、一方でコーヒーチェーンが高級化し、ファストフードとは一線を画す動きもある。ドトールコーヒーは、高い利益率と業態展開力で定評のある日本レストランシステムと2007年に経営統合。「星乃珈琲店」を関東、中京、関西を中心に国内で54店舗、海外で2店舗、出店している。高品質なハンドドリップコーヒーとこだわりのスイーツで顧客の支持を得ている。

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1978年佐賀県生まれ。佐賀県庁で食品のブランド化に関わる。その後、大学院で農業政策や食品安全に関するリスクコミュニケーションを学ぶ。食品コンサルタント会社を経て、現在は社会的関心が高い科学ニュースについて専門家のコメントを収集しジャーナリストに提供する活動をしている。関心のあるテーマは、農業、食品流通、食品安全、リスクコミュニケーション。


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