競争激化のコーヒー市場、最前線を追う

快進撃のスタバ、家庭も主戦場に?

2013.06.07(Fri) 白田 茜
筆者プロフィール&コラム概要

 銀座ルノアールも新業態の「ミヤマ珈琲」や「カフェ・ミヤマ」を展開している。ミヤマ珈琲は、郊外型の立地で地域コミュニティづくりを謳っている。カフェ・ミヤマは20~30代の女性をターゲットに、落ち着いたプライベート空間を提供している。同企業による「喫茶ルノアール」が40代以上の男性客をターゲットにしているのと対照的だ。回転率を重視してきたカフェチェーンも、プライベートなくつろぎ空間を提供し、回転率を落としても客単価を上げようとする作戦に出ている。

縮小する喫茶店市場

 実は、喫茶店市場は縮小傾向にあるのだ。食の安全・安心財団の「外食産業市場規模の推移」によると、1982年の1兆7396億円をピークに喫茶店市場は右肩下がりの傾向にある。直近の2011年の市場規模は1 兆182 億円。前年より0.1%減少しているという。

縮小する喫茶店市場 (参考:財団法人食の安全・安心財団「外食産業市場規模の推移」より筆者作成)

 喫茶店の数も減少傾向にある。総務省統計局の「事業所統計調査」によると、喫茶店の数は1981年の15万4630店舗をピークに減少し続け、2009年には7万7036店舗と半数以下にまで落ち込んでいる。

 背景には、時代の変遷の中での個人経営店の衰退もあった。1970年代は自家焙煎などこだわりの珈琲を提供する「珈琲専門店」がブームとなり、喫茶店の数は増え続けた。75(昭和50)年に7375店舗だったのが80(昭和55)年には1万4944店舗にまで倍増した。ところが同年にドトールが東京・原宿に出店。フルサービスの喫茶店が常識だった中で、セルフサービスや150円という低価格が世間を驚かせた。以降、1990年代には「シアトル系カフェ」がブームとなり、セルフサービスのコーヒーチェーンが席巻していく。こうして個人経営店はセルフサービスの波に押され、後退していった。

快進撃を続けるコーヒーチェーン

 コーヒーチェーンの勢いは止まらない。現在、コーヒーチェーンの店舗数1位はドトールで、2013年2月期現在グループで国内1384店舖(注釈:日本レストランシステムの系列店を除く)。次いでスターバックスの985店舗。3位がタリーズコーヒーの501店舗。4位がコメダ珈琲の497店舗と続く。

 中でも、スターバックスの快進撃が続いている。2013年3月期の業績は、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のすべてで過去最高だった。売上高は前年比8.1%増の1165億2500万円、営業利益は同24.6%増の97億1500万円、経常利益は同20.9%増の97億4200万円と大幅な増益となった。当事業年度で45店舗が新規出店したという。

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1978年佐賀県生まれ。佐賀県庁で食品のブランド化に関わる。その後、大学院で農業政策や食品安全に関するリスクコミュニケーションを学ぶ。食品コンサルタント会社を経て、現在は社会的関心が高い科学ニュースについて専門家のコメントを収集しジャーナリストに提供する活動をしている。関心のあるテーマは、農業、食品流通、食品安全、リスクコミュニケーション。


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