5月24~25日の2日間、北京で「第2回米中戦略・経済対話」が開催された。

 24日の開幕日には胡錦涛主席が「21世紀における積極的で協力的な中米関係の建設推進に努力しよう」と題して演説。25日の閉幕後には、米国のクリントン国務長官、ガイトナー財務長官、中国の胡錦濤主席、温家宝総理が相次いで会見した。中国の両首脳は米中の戦略・経済対話が果たす重要な役割を積極的に評価し、米中関係のさらなる発展に期待を表明した。

 人民元の切り上げ問題など注目された議題については目立った成果はなかったものの、それでもエネルギー、環境、科学技術など広範な分野で26件の協力文書が調印され、第2回米中戦略・経済対話はつつがなく終了したかに見えた。

突然キャンセルされたゲーツ長官の訪中

 ところが6月3日、ゲーツ米国防長官の訪中を中国が拒絶するという事態が生じ、米国側を驚かせることとなった。

 2009年10月末、中国の徐才厚・中央軍事委員会副主席(上将)が訪米し、ブッシュ政権時の2008年10月以来途絶えていた米中軍事交流が復活した。その際、徐才厚副主席はゲーツ国防長官の中国訪問を招請し、ゲーツ国務長官はそれを受け入れていた。

 その後、2010年1月末、オバマ政権がパトリオットPAC3など総額で64億ドル相当の台湾向け武器供与を認めたことで、中国は態度を硬化させ、米中の軍事交流は再び途絶えることとなった。

 だが、4月に米国で開催された核安全保障サミットへの胡錦涛主席の出席と今回の戦略・経済対話の成功を受け、ゲーツ国防長官としては自らの訪中によって軍事交流の再開につなげたい意欲があったことは確かであった。

 そのゲーツ長官の訪中を中国側が拒絶した理由は、「時期がふさわしくない」とだけ報じられた。円満に閉幕したはずの第2回米中戦略・経済対話の直後という時期のどこがふさわしくないのか、米国側は訝った。

 しかし、拒絶の理由はその戦略・経済対話の時にすでに示唆されていたのだ。

米国は米中軍事交流の再開を図ったが

 今回の戦略・経済対話に臨んだ米国代表団は200名にも及んだが、その中にはウィラード米太平洋軍司令官やグレッグソン国防次官補も含まれていた。彼らが参加した目的は、もとより米中の軍事交流再開にあった。

 5月24日、米国代表団のうち65名が参加した会議で、中国の関友飛・国防部外事弁公室副主任(少将)はこう言い放った。

 「中米関係がうまくいっているのは、すべて中国のおかげだ。うまくいっていないところは、すべて米国のせいだ。米国は覇権を振り回し、戦略的に同盟関係を作って中国を包囲しようとしている。また、米国は中国の敵である台湾に武器を売っている。これらはすなわち、米国が中国を敵と見なしていることを示している」