黒田東彦氏が日銀総裁に就任し、4月4日に「2年間でマネタリーベース(通貨供給)を2倍にして2%のインフレを実現する」とぶち上げて1カ月がたった。当時はマーケットも「黒田バズーカ」に驚き、株価が大幅高になったが、1カ月経ってその効果はどうだろうか。

 4月26日に総務省が発表した消費者物価指数(生鮮食品を除く)いわゆるコアCPIは、前年同月比-0.5%で、先行指数と言われる東京都区部の4月中旬のコアCPIも-0.7%。安倍首相が「輪転機をぐるぐる回してお札を印刷する」と言い始めて半年経っても、デフレはいっこうに止まらない。

史上空前の大規模な「異次元緩和」

 ところが同じ26日に発表された日銀の展望リポートによると、消費税率の影響を除く物価上昇率は、2014年度(2015年3月まで)には1.4%、2015年度には1.9%になる見通しだという。

 これは審議委員の推定の「中央値」ということになっているが、これはここ数年のCPIのトレンドから、2%ポイント以上も飛び離れた値である。どういう理由でこのような急激な変化が起こるのかについては、展望リポートは次のように説明している。

 1.資産買入れにより、イールドカーブ全体の金利低下を促し、資産価格のプレミアムに働きかける効果がある。

 2.金融機関や機関投資家の投資行動が変化し、貸出やリスク性の資産にシフトすること(いわゆるポートフォリオ・リバランス)が考えられる。

 3.「物価安定の目標」の早期実現を明確に約束し、これを裏打ちする大規模な資産の買入れを継続することで、市場や経済主体の期待を抜本的に転換させる。

 いずれも白川総裁の行なった「包括緩和」のときにも想定されていた波及経路であり、新しい話はない。唯一の新しい材料は、政策目標を短期金利ではなくマネタリーベースに変更し、2年間で270兆円まで増やすという目標を掲げたことだ。