ネットで商品を購入する前に実店舗に行き、現物を見て確かめる「ショールーミング」という消費行動が米国で盛んになっており、小売店のビジネスを脅かしている――。こうした調査結果を米国のマーケティング会社、プレースドが27日に公表した。
小売店のリスクを数値化
これによると、その恩恵を最も多く受けているのは米アマゾン・ドットコム。少し前まで消費者はパソコンを使ってアマゾンで買い物をしていた。しかし今ではスマートフォンを持っており、実店舗にいながらその場でネットショッピングする。
まるで小売店の通路がアマゾンの商品棚につながっている状況だという。大手小売りチェーンの中にはネット販売を行っているところも多いが、アマゾンの価格や品数の多さが高い競争力を持っており、苦戦を強いられているという。
プレースドは今年1月に1万4925人の米国消費者を対象にアンケート調査を行った。これらの人はプレースドがスマートフォンの位置情報を追跡することも了承しており、同社は消費者が実際に行った店舗の情報も把握しているという。
同社によると、これまでショールーミングの犠牲になってきたのは「ベストバイ」や「ターゲット」といった有名量販店が主と見られていたが、より高いリスクを抱えている小売店がほかにもあることが今回の調査で分かったという。
同社はそのリスクの度合いを「アマゾン・ショールーミング・リスク指数」という数値にしている。
これによると、最も指数、つまりリスクが高いのは、寝具、浴室・キッチン用品などを販売する雑貨小売店チェーンの「ベッド・バス&ビヨンド」で、指数は127。これはアマゾンを使ってショールーミングしたことのある人のこの店に行く割合が、一般的な消費者がこの店に行く割合よりも27%高いことを示している。
これに次いで指数が高かったのはペット用品を扱う「ペットスマート」(指数125)。また玩具販売のトイザらスは121で、ベストバイは120、ターゲットは115だった。