私は、公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会 Web広告研究会(以下Web研)の代表幹事を務めている。

 その活動の中で、毎年、その年の指針となるメッセージとして「Web広告研究会の宣言」というものを発表している。これは15人で構成されるWeb研の幹事会メンバーで決めるもので、2013年は2月22日金曜日に発表を行った。

 「デジタル・マーケティングでビジネスを成功させるのは宣伝部長です」

 これが2013年の宣言である。2012年は「Cooking Big Data」だったことを考えると、その文体といい内容といい、大きな違いを感じるかもしれない。そこで、なぜこのWAB(Web Advertising Bureau)宣言になったのかを、改めて説明したいと思う。

Web広告研究会宣言の背景その1:IT化が進むデジタル広告

米グーグル、新ノートPC「クロームブック・ピクセル」を発表 高画質タッチ画面搭載

デジタルデバイスの多様化と普及により、デジタル広告も増加(写真はタッチスクリーンを採用した米グーグルの新型ノートパソコン「クロームブック・ピクセル」)〔AFPBB News

 この記事の読者の中には、まさにこのページをタブレット端末で読んでいる方もいるのではないだろうか。生活者の中に着実にデジタルデバイスが普及し、それに応じてデジタルコンテンツの量が増え、デジタル空間における広告量も増加している。

 ニールセンのバナー広告測定データを基に、日本の1日のバナー広告量を試算すると、1日に約4億5000万個ものバナー広告が出ている。ちなみに、日本の民間放送局が24時間放送を行い、可能なかぎり30秒の広告を出しても6万6000回に過ぎない。

 これだけ広告の数に差があると、広告の取引にも違いが出てくる。ご存じのように、テレビ広告は多くが営業を経由して取引が行われる。

 バナー広告の場合も今までは営業を経由した取引が多かったが、最近はコンピューターを使った取引、いわゆるアドネットワークの活用や、金融商品と同じようにコンピューターを使った入札で取引を行うRTB(Real Time Bidding、リアルタイム入札)が増加している。