中国でオンライン地図サービスが免許制になることで、米グーグルが同国でサービスを継続するのが難しくなってきたと、米ウォールストリート・ジャーナルが伝えている。
それによると中国の国家測絵局(State Bureau of Surveying and Mapping)は5月、オンライン地図や位置情報サービス、関連の検索、ダウンロードサービスなどを中国で提供する事業者は当局の承認を得なければならないと発表した。
香港経由のサービスは認められない?
事情に詳しい政府関係者はグーグルが既に申請を行ったと話しているが、同社が免許を取得できるかは今のところ、まったく分からない。条件を満たしたからといって、必ずしも免許が取れるとは限らないからだ。とりわけ、グーグルは中国政府に反発している。
同社はサイバー攻撃や検閲について、中国当局に屈することはできないとして、同国本土で提供していた検索事業から撤退し、香港版サービス「Google.com.hk」で本土向けのサービスを提供している。
米シーネットの記事によると、新たな規制では地図サービスのコンピューターシステムが中国本土にあることが求められるという。グーグルは地図サービスも香港のシステムから提供しているため、この条件を満たさないことになる。
またウォールストリート・ジャーナルによると、地図上では紛争地域などを当局の基準に従って表示しなければならないほか、軍関連施設などの機密情報は削除する必要がある。
ユーザーが自由に情報を書き込めるグーグルのようなサービスで、これらの条件を満たすのは困難だと報じている。
「国家安全保障や国威にも悪影響」と当局
中国政府は長年、国家安全保障や国境問題といった政治的な観点から地図情報を管理してきた。当局がオンライン地図サービスに注目するようになったのは、ユーザー数が急増した2008年から。新たな規制は地図サービス業界への管理強化という政府の取り組みの一環という。