週刊NY生活 2013年1月19日第427号

 グランドセントラルターミナルが2月2日、開業から満100年を迎える。2月1日には、百歳を祝う式典が予定されているほか、3月には公式アート展、4月には音楽祭、5月には歴史的な車両パレードなど盛りだくさんの企画が用意されている。

 普段は何気なくニューヨーカーたちが行き交うターミナルには、実はちょっとした秘密やサプライズが隠されている。(JBpress注:記事中の写真A~Dについては、週刊NY生活誌を参照)

 グランドコンコースの天井に描かれている星座(写真円内A)。見事だが、実はこれが裏返しになっていることはあまり知られていない。

 駅舎改築記録記念本『グランドセントラル』(WWノートン出版・刊。2000年)によると「宇宙から地球を見下ろした時の星座をイメージしたもので、これを描いたアーティストも設計者も、リアリズムよりもデザインを優先したらしい」(ピーター・アーロン氏)との記述あり。

 そしてターミナルを見下ろす、知る人ぞ知る隠れ家バー「キャンベルアパートメント」(場所は同Bの位置)。駅内からの入り口は、ほとんど誰も気がつかないようなエレベーターのみ。しかもバーの表示もない。

重厚な佇まいを見せるバー、キャンベルアパートメントは1920年代がそのまま残る

 エレベーターで「B」の階で降り、小さな階段を上ると、1920年から実業家のオフィスとして使用された、天井の高いターミナル構内を見下ろす部屋がそのまま豪奢なバーになっている。

 通勤帰りの人でにぎわうこのバー、アルコール類の値段は少々高めだが、ニューヨークならではのスポットだ。ちなみにバンダービルト通り側にも入口がひっそりとある。

 さらに、地下1階にある有名なシーフードレストラン、オイスターバーの前のドーム状の天井の対角線で、小さなささやき声が反響して聞ける(同D/5面)。

 恋人たちのささやきなどいろいろ利用されているようだ。混雑時に店の前を通ると観光客がこの「ミステリーゾーン」を大騒ぎで試しているのですぐに分かる。

 待ち合わせに利用されるロビーの時計。ターミナルが閉鎖される午前2時から5時までの間に毎日掃除される。