第18期共産党大会で選ばれた中央委員は205人。過去数日間、彼ら一人ひとりの略歴を丹念に見比べていたら、実に興味深いことが分かってきた。「共産党内派閥の研究」第3回目の今回は視点を180度変え、幹部党員自身から見た「党内出世競争」について考えてみたい。(敬称略)

中央委員の出世パターン

習近平新体制が発足、汚職対策に意欲 中国

中国共産党の新しい総書記となった習近平(左)と政治局常務委員になった李克強(右)〔AFPBB News

 先程ようやく、第18期中央委員205人のうち約100人分の略歴を読み終えた。彼らのキャリアパスは様々だが、どうやらいくつか典型パターンがあるようだ。

 彼らの大半は1950年代前半生まれで筆者と同年代。そのためか、彼らの一生は決して他人事とは思えない。

 それはともかく、まず第1の典型パターンは、特定の地方や行政組織・分野で長く勤めた後、(突然の抜擢で)別の地方の省長や党委書記に就任するケースだ。

 政治局委員にはこうした例が少なくない。党内出世という点では最も成功する可能性が高いのかもしれない。

 第2の典型パターンは、特定の地方や行政組織・分野で一貫して勤務し、その地方・組織のトップに就任するケース。いわゆる「たたき上げ」「その道一筋」であるが、多くの中央委員はこれで「一丁上がり」だ。彼らは一種の「地方代表」「職能代表」だとも言えよう。

 第3の典型パターンは、壮族、チベット、モンゴルなど少数民族の代表として中央委員に選ばれているケース。第18期中央委員にはこの種の人が10人いる。ちなみに、女性の中央委員も同じく10人だ。この数字は決して偶然の一致ではないかもしれない。

 第4の典型パターンは、言うまでもなく、人民解放軍の軍人だ。1つの組織出身という点では非常に数が多く、正確な数字は現在も集計中である。武装警察も含めれば、その数はさらに増えるだろう。いずれにせよ、中央委員の中ではダントツの集団だ。