市場調査会社の米IDCが公表した今年7~9月期の世界タブレット端末出荷台数は、前の四半期から6.7%増えて、2780万台となった。
このうち米アップルが1400万台を占めている。1社で世界のタブレット市場を牽引してきたアップルはこの7~9月期も業界トップ。しかしその出荷台数は前の四半期から減少しており、市場シェアも65.5%から50.4%へと低下した。アップルの1年前からの出荷台数の伸び率は26.1%だったが、これは業界全体の49.5%を下回っている。
アップルの競合メーカーとして過去最高水準
これに対し2位の韓国サムスン電子は510万台を出荷し、市場シェアは18.4%。サムスンは前の四半期から115%増、1年前から325%増と業界平均を大きく上回る伸びで推移している。IDCによるとアップルの競合メーカーの市場シェアがこの水準に達したのは初めて。サムスンは様々な画面サイズや本体カラーの端末を用意したことが顧客を引きつけ、出荷増につながったという。
もっともアップルについては、今年3月半ばに第3世代のアイパッド(iPad)を市場投入しており、4~6月期にこれがよく売れた。7~9月期は減速サイクルに入り、さらにこの時点で小型版「アイパッド・ミニ(iPad mini)」登場の噂が流れて買い控えが起きた。
アップルは11月2日にアイパッド・ミニと第4世代アイパッドのWi-Fi接続専用モデルを発売しており、まもなく携帯電話ネットワークに対応したモデルも発売する。このことから年末商戦のある10~12月期には好調に推移するとIDCは予測している。
ただしアップルは安閑としていられない状況にある。というのもアイパッド・ミニは廉価モデルでも329ドルと価格が高め。同じく7インチ台の端末である米グーグルの「ネクサス(Nexus)7」と米アマゾン・ドットコムの「キンドルファイア(Kindle Fire)HD」は廉価版がともに199ドルだ。
IDCはこれらグーグルのアンドロイド(Android)搭載端末は、価格競争力を武器に十分に台頭できる余地があると指摘している。
アップルの公表データに疑念の声
IDCがこの調査結果を発表したのと同じ日にアップルは、ミニと第4世代アイパッド発売後の3日間で、アイパッドの販売台数が300万台と、これまでの記録の2倍に達したと発表した。ところがこの「2倍」を巡って疑念の声が上がっており、ちょっとした話題になっている。
というのもアップルは第3世代アイパッドの発売時にも同様の期間に300万台を販売したと発表していたからだ。