前回の当欄で欧州の自動車メーカーがエンジンのダウンサイジングの第2フェーズに入ったことを伝えた。
今回は、ダウンサイジングとともに注目されているクリーンディーゼルにフォーカスする。また、新しいタイプのエンジンが有効に活用されるために、米国で採用されている燃費基準を分析する。
一般ドライバーがリッター30キロ近くを達成
「1リッターで大体28~29キロの計算だな」・・・。
過日、新型車の試乗に出かけた友人がこんなことを言った。乗った車は独BMWの「320d」。モデル名末尾の「d」が示す通り、クリーンディーゼルだ。
友人は満タン方式の簡易な燃費計測を実施。東名高速でエコモードを使って時速80キロで走り、冒頭の数値を導き出した。
前回の当欄では、BMWや仏プジョー・シトロエン、伊フィアットなどが相次いで2気筒、3気筒の小型エンジンにターボなど過給器を加え、低燃費かつ高性能を併せ持つ新たな動力源にシフトしつつあると触れた。ここ数年続いてきた欧州勢のダウンサイジングは、新たなフェーズに入ったのだ。
今回、ダウンサイジングとともに注目したいのはクリーンディーゼルである。
独メルセデス・ベンツが本国や欧州全域での売れ筋だったディーゼルを日本市場に投入したあと、今年に入ってからはBMWも本腰を入れ始めた。私の勝手な予想だが、他の欧州勢も続々とディーゼル車を日本市場に投入するはず。
欧州でのディーゼルのシェアは約6割に達する。先に示したように、燃費テスト専門のプロドライバーではない一般のドライバーでも悠々1リッター=30キロ近い低燃費を達成できるからだ。
ディーゼルは黒い煙を吐き出し、エンジン音がうるさいというイメージがつきまとうが、私自身が感じたクリーンディーゼルは以前の“環境の敵”とは全くの別物。