事前の報道や噂のとおり、米アップルは23日に開いたイベントでタブレット端末の小型版「アイパッド・ミニ(iPad mini)」を発表した。画面サイズは7.9インチと従来モデルの9.7インチより一回り小さく、重さは半分以下の約310グラム。価格はライバルメーカーの7インチモデルよりも高めの329ドル(2万8800円)からという設定だ。
ジョブズ氏のこだわりを捨てた「ミニ」
アップルはアイパッドの初代機を発売した2010年から9.7インチという画面サイズにこだわってきた。
故スティーブ・ジョブズ前最高経営責任者(CEO)が「タブレットの機能を十分に生かすために必要不可欠な最小限の大きさ」と主張し、ほかのサイズを断固として認めなかったからだ。
しかしここに来て同社が「ミニ」を出さなければならなくなったのは、その後に登場したライバル端末によって、小型モデルの市場ができつつあるからだ。
今年4~6月期の世界タブレット市場におけるアイパッドの出荷台数シェアは68.2%で首位だった。これに対し2位の韓国サムスン電子のシェアはまだ9.6%という程度。
しかしアップルの前年からの出荷台数伸び率が84.3%であるのに対し、サムスンは117.6%と約2.2倍に伸びている。
サムスンの「ギャラクシー・タブ(Galaxy Tab)」シリーズは、7インチ、 7.7インチ、8.9インチ、10.1インチと異なるサイズがある。
また米グーグルが自社ブランドの7インチ端末「ネクサス(Nexus)7」を今年7月に市場投入しており、これが人気を博している。米アマゾン・ドットコムも7インチ型を含む「キンドル・ファイア(Kindle Fire)HD」シリーズを9月に市場投入した。