韓国の大統領選挙(2012年12月19日投票)まで3カ月を切った。有力3候補が出揃い、激しい選挙戦が本格化してきた。一方で、「大統領選挙関連テーマ株」も続々と登場している。もちろん、ほとんどが実態のない理由で株価が乱高下し、個人株主の損失も膨らんでいる。

 韓国の大統領選挙は当面は、三つ巴の争いが続く。与党セヌリ党の朴槿恵(パク・クネ)議員と野党の文在寅(ムン・ジェイン)議員に加えて、若者層に高い人気の安哲秀(アン・チョルス)氏も正式に出馬を発表し、連日、活発に重要都市を飛び回っている。

証券市場も過熱気味

朴槿恵氏が韓国大統領選に出馬表明

韓国大統領選まで3カ月を切り、政界の戦いも熱を帯びている(写真は与党セヌリ党の大統領候補の朴槿恵議員)〔AFPBB News

 政界の戦いも熱を帯びてきたが、すでに過熱状態にあるのが証券市場だ。5年に1度の大統領選挙を巡って、「選挙テーマ株」「○○候補関連株」などの情報がネットの株式情報サイトで飛び交っている。

 2012年9月24日、韓国の金融監督院が興味深い報道資料を出した。その題目は、「テーマ株、株価急騰でも個人投資家の損失大きい」。大統領選挙を前に跋扈している「テーマ株」ブームに注意を促す内容だ。その内容を紹介しよう。

 金融監督院は、2011年6月以降、テーマ株として話題になった131銘柄について株価を分析したところ、1年後の2012年6月現在ですでに48社については「想定していたテーマがなくなり、株価が最高値に比べて47%急落した」という。

 「○○候補関連株」と言われていたが、肝心のこの候補が党内予備選挙で脱落するなど、選挙とまったく関係のない普通の株になった例だ。この間に業績不振から上場廃止になった銘柄もある。

 金融監督院は、この131銘柄のうち、特に話題になった35の代表銘柄について2011年6月から1年間、株価や投資家の売買動向を綿密に調査した。

株価急騰でも巨額損失

 すると驚くなかれ。最高で331%も株価が上昇し、調査最終日(2012年5月31日)時点でも1年前に比べてこれら35社の株価は93%も上昇していたという。

 なるほど、テーマ株はやはり強力な威力だったのだ。ところが、実際に35銘柄を取引していた投資家がみんなハッピーだったわけではもちろんない。