予約受付を開始してからわずか24時間で200万台の注文があるなど好調なスタートを切った米アップルの「アイフォーン(iPhone)5」。年末には4650万台が売れるといった観測も広がる中、電子機器・部品の市場に詳しい調査会社、IHSアイサプライがさっそくこの端末のハードウエアを分析した。
製造原価の差は最大でも21ドルにとどまる
それによると、販売価格が649ドルの16GBモデルの推定製造原価は207ドル。同様にして749ドルの32GBモデルの製造原価は217ドル、849ドルの64GBモデルは238ドル。
いずれも実機を分解して調査したのではなく、アップルが公表している仕様や部品供給業者からの情報をもとに、IHSアイサプライの専門知識を加えて分析する「仮想分解」を行ったものだ。
またこれはあくまでもハードウエアの製造原価であって、ソフトウエアの開発費用やライセンス料といった費用は含まれていない。ただ、アイフォーン5のおおよそのコストを把握できるといった点で興味深い調査だ。
中でも、タブレット端末「アイパッド(iPad)」などと同様に、各部品の原価はストレージ部品であるNAND型フラッシュメモリーを除けば、すべてのモデルで共通している点が興味深い。
前述の通り、アイフォーン5にはストレージ容量が異なる3つのモデルがあり、販売価格はそれぞれ649ドル、749ドル、849ドルと100ドルずつ上がっていく。
ところがこれら3モデルに使われている部品は共通している。例えばディスプレイ部品の原価は44ドル、プロセッサーは17.50ドルで、これは16GBモデルでも64GBモデルでも同じだ。また製造コストも8ドルで3モデルで共通している。
唯一異なるのは、NAND型フラッシュメモリーで、16GBの原価が10.40ドル、32GBが20.80ドル、64GBが41.60ドルとなっている。製品の販売価格の差がそれぞれ100ドルなのに対し、フラッシュメモリーの価格差は最大でも20.80ドルにとどまっている。