米アップルと韓国サムスン電子の法廷闘争が激化する中、米グーグル傘下の米モトローラ・モビリティがアップルを米国際貿易委員会(ITC)に提訴したと複数の海外メディアが伝えた。

音声アシスタント「Siri」も訴訟対象に

米グーグル、傘下のモトローラで約4000人を削減へ

モトローラのタブレット型端末「Xoon」〔AFPBB News

 米ブルームバーグによると、アップルがスマートフォン「アイフォーン(iPhone)」に搭載している音声アシスタント機能「シリ(Siri)」をはじめとする技術などに関し、モトローラは合計7件の特許が侵害されたとして、ほぼすべてのアップル製品の米国への輸入禁止を求めている。

 モトローラがアップルに特許を侵害されたとしてITCに訴えたのはこれで2度目だ。1度目は2010年10月のことで、モトローラは自社の特許18件がアップルに侵害されたとして、ITCに提訴している。

 これを受け、アップルはモトローラによる不当な要求に応じられないと主張。モトローラ製スマートフォンの「ドロイド(Droid)」などがアップルの特許を侵害しているとして逆提訴した。

 この第1回目の裁判の最終判決が下されるのは今月の24日だ。これまでITCは、モトローラによる特許侵害は認められないとする仮決定を下し、さらにアップルによる特許の侵害があったとする仮決定も下している。

モトローラ、1度目の訴訟は敗訴の公算

 ここまで見ると、訴訟はモトローラに有利な展開で進んでいるように思われるが、海外メディアの報道によると実はそうではないらしい。モトローラは1度目の訴訟で輸入禁止命令を勝ち取ることができない公算で、それを見据えて第2の矢を放ったというのが大方の見方だ。

 というのもモトローラが1度目の訴訟で問題としたのは、無線通信やアンテナ設計に関する特許だからだ。

 こうした特許は「標準必須特許」と呼ばれ、他社に対し公正で合理的かつ差別のない(FRAND:Fair, Reasonable, and Non-Discriminatory)形でライセンス供与されるべしとされている。

 つまり、無線通信など業界全体で使われている技術については、その構成要素となる特許を持つモトローラはアップルなどにライセンス供与しなければならない。