フェイスブックが上場後初めて発表した決算(4~6月期)は、売上高が1年前から32%増の11億8400万ドルとなったものの、純損益は1億5700万ドルの赤字だった。

 新規株式公開(IPO)に伴う株式報酬に関連する費用や、研究開発費、マーケティング費用などがかさみ、支出が1年前の4億8800万ドルから19億2700万ドルと、ほぼ4倍に膨らんだ。

ユーザー数、3割増の9億9500万人に

米フェイスブックIPO騒動でしぼんだITバブルの気運

北京のオフィスビルの窓に反射して見えるパソコン画面のフェイスブックページ〔AFPBB News

 フェイスブックが併せて公表したデータを見ると、1カ月に1度以上サービスを利用した月間アクティブユーザー数は1年前に比べ29%増えて9億9500万人となった。

 このうちモバイル端末経由のアクティブユーザー数は同67%増の5億4300万人となり、全体の半数以上を占めている。

 一見、堅調な伸びで推移しているようだが、市場が懸念しているのは成長の鈍化だ。例えば売上高の前年同期比32%増という伸び率は昨年の1~3月期以降、最も低い水準。

 これは、モバイル端末経由のユーザーの伸びが、全体の伸びを上回っていることが原因と見られている。サービスの使い勝手が悪くなることから表示面積の小さなモバイル端末では広告を大きく表示したり、頻繁に出したりできず、モバイル版はパソコン版のような規模で広告収入を得られないという状況だ。

 また、フェイスブックには「ペイメント」と呼ぶ、ソーシャルゲームなどの仮想通貨の取引によって得られる手数料の事業がある。しかし米ウォールストリート・ジャーナルによると、こちらもパソコン版の収入よりも、モバイル版の収入が低くなるという現象が起きている。

 つまり、このままモバイルユーザーが増え続ければ、売り上げの伸びがさらに鈍化するか、やがては減少に転じることになる。