ポータルサイト大手の米ヤフーと携帯電話機最大手、フィンランドのノキアが、ネットサービスで戦略的提携を結んだと発表した。ヤフーの電子メールサービスやノキアの地図サービスなどを互いのユーザーに提供し、世界規模で共同ブランド展開する。

ヤフーの狙いは次世代ユーザーの囲い込み

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携帯電話の「栽培」も可能に? ノキアが未来の需要を研究

ヤフーとノキア、事業提携合意〔AFPBB News

 ヤフーはノキアの携帯電話に電子メールとインスタントメッセージングのサービスを提供する。ヤフーは世界における同社ブランドの認知度を高めたいと考えており、インターネットがまだ普及していない新興国市場の携帯電話ユーザーにアピールする狙い。

 ノキアの端末は中国やインドなど新興国で利用者が多い。それらの大半は廉価な従来型の製品であるため、ヤフーは将来における、高機能端末、高速ネット回線、インターネットの普及を睨み、次世代インターネットユーザーの早期囲い込みを図る。

 一方のノキアは同社が2007年に81億ドルで買収した「ナブテック(NAVTEQ)」の地図/ナビゲーションサービスをヤフーに提供する。これによりノキアのモバイルネットサービス「オビ(Ovi)」の知名度向上を図る。

 ヤフーの地図サービスには「powered by Ovi」とノキアのサービス名を付け、ノキアのサービスには同様にして「powered by Yahoo!」と記し、互いのブランドを露出させる。

ノキアは北米販売を強化

 ノキアは世界最大の携帯電話メーカーだが、同社のシェアは縮小傾向。米ガートナーの調査によると、2010年第1四半期における世界の携帯電話市場では、ノキアのシェアが35%となり、前年同期の36.2%から落ち込んでいる。

 一方で、米アップルの「アイフォーン(iPhone)」、カナダRIM(リサーチ・イン・モーション)の「ブラックベリー(BlackBerry)」、米グーグルの「Android(アンドロイド)」といった高機能端末が急成長しており、ノキアはとりわけ北米市場で苦戦している。ヤフーのブランド力を利用して販売攻勢をかけたい考えだ。