数日前、いつものようにブラウザ上の「iGoogle」を何気なく見ていると、YouTubeのガジェットに「今日のおすすめ動画」として、見たことのない中年の男性の顔が現れていた。
当初気にしていなかったのだが、数日間、その動画が現れたままだったので、何だろうとチェックしたところ、なんと、いま世の中で大きなニュースになっている大津「いじめ」事件の加害者とその家族の情報をまとめた動画とのことであった。
この動画、実に衝撃的な内容であり、あっという間に再生回数が数万、10万、20万と増え、YouTube上に加害者批判の無数のコメントが書き込まれた。
コメントを見て、筆者は、「やはり、いじめは許せない」という思いと、遺族の気持ちを考えて「そっとしておけばいいのに」という思いが入り混じり、複雑な心境であった。
それとほぼ同じ時期に、筆者のFacebookにも、その動画に掲載されていたのと同じ画像がどこからともなくフィードに流れてきた。おそらくここからまた限りなく拡散されていったことだろう。
そもそもは一部の民放テレビ局の放送上のミスが発端と思われるが、これだけ実名入りで調べつくした情報が拡散してくると、さすがに背筋がぞっとする思いである。
その後、当の動画は削除された様子だが、誤った加害者情報だという指摘がなされたにもかかわらず「暴露」はどんどんヒートアップしていき、2次、3次情報や、より詳しく調べ上げた情報(内容の真贋についてはここでは問わない)までアップされ、とても抑え込める状況ではなくなっている。
ネット上で多くの人が知っていてもリアルでは誰も口にしない
この現象を目の当たりにして、感じたことが2つある。
まず、テレビのニュースを含めたリアルの世界とネットの世界の情報の「二重構造」である。