アップルが中国に構える直営店の数はわずか6店舗。これを同国13億人の人口と照らし合わせると、1店舗当たり2億1600万人。一方で同社には人口わずか1270万人の米ペンシルベニア州に直営店が8つもある――。
英ロイター通信がこうした記事を掲載し、アップルの中国における小売事業の進展の遅さを指摘している。
それによると、中国市場はアップルの売上高の5分の1をもたらしているが、にもかかわらず同社の小売店展開は遅れている。これは販売機会の損失という問題にとどまらず、同社中国事業の持続可能性も危うくすることになりかねない事態だという。
進まない小売事業、非正規店や模倣品の温床に
アップルには現在、北京に2店舗、上海に3店舗。香港に1店舗の直営店がある。これに加え今後、広東省の深センや、四川省の成都にも店舗を出す計画を立てている。
しかし同社が2008年に北京で1号店を出店した際の目標は2年間で25店舗をオープンさせるというものだった。その出店計画は遅々として進まず、アップルは旺盛な中国消費者の需要に応えられていないという。
先頃米ニューヨーク・タイムズが報じたようにアップルの直営店は米国の大手小売事業者と比較してもずばぬけて収益性が高い。同社は現在世界に327店舗を持つが、中でも中国の店舗は最も混雑していると言われている。
中国のアップル直営店では、購入前に製品を試そうと日々人が集まり、平日でも行列ができる。新製品の発売日にはダフ屋が現れ、列の先頭の権利を売っているというありさま。こうした状況で、輸入品などを扱う非正規の販売店や偽アップルストアが地方に多数登場し、さらに模倣品を販売する業者も出ている。