米アップルのタブレット端末「アイパッド(iPad)」の中国における商標権を巡る訴訟が和解に達したことが明らかになった。海外メディアの報道によると、アップルは既に訴訟相手の中国企業に和解金を支払っており、これにより同国でアイパッドの名称が使えるようになった。

2年半の商標訴訟に終止符

「iPad」名称めぐる商標権訴訟、アップルと中国企業が和解

上海のアップルストア〔AFPBB News

 和解金は6000万ドル(約48億円)に上るが、アップルの今年1~3月期における、香港、台湾も含めた大中華圏の売上高は80億ドル(約6380億円)。

 アップルが同国でアイパッドの事業を継続でき、今後さらに商品展開を拡大できる切符を手に入れたと考えればこの金額は安いと米ウォールストリート・ジャーナルなどは報じている。

 アップルの訴訟相手となっていたのは、パソコンやディスプレイ製品を手がけていた広東省深センの唯冠科技(プロビュー・テクノロジー)。

 同社は香港の持株会社「唯冠国際控股(プロビュー・インターナショナル・ホールディングス)」の子会社で、この持株会社は台湾にも子会社「唯冠電子(プロビュー・エレクトロニクス)」があった。このグループが「Internet Personal Access Device」を表す名称として「IPAD」を商標登録したのは2001年。

 その後この商標権をアップルが2009年に台湾の子会社から5万5000ドルで買い取ったのだが、アップルが2010年1月にアイパッドの初代機を発表した後、深センの子会社が「グループは中国における商標権はアップルに譲渡しておらず、(商標権は)今も我々が持っている」と主張した。

 これによってアップルの同国における商標登録は当局に認められず、同社は訴訟を提起した。

 この裁判で深セン市中級人民法院(地裁)は昨年12月にアップルの訴えを退けており、アップルがこれを不服として上訴。これまで広東省高級人民法院(高裁)で審理が行われていた。