ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の米フェイスブックは、課金の仕組みを変更して収益向上を図るようだ。19日、同社はこれまで導入していた「クレジット」と呼ぶ独自の仮想通貨を廃止すると発表した。
また併せて、定期的に決まった料金を徴収するサブスクリプション(会員制)形式の課金システムを導入することも明らかにした。すでに米ジンガなどのフェイスブック上でサービスを提供するソーシャルゲームが試験運用を始めており、7月中にフェイスブックでサービスを提供するすべてのアプリが、新たな課金システムを利用できるようになる。
儲けの仕組み、30%の手数料は従来通り
フェイスブックのサービスは誰でも無料で使えるが、その上で動くアプリのサービスでは、仮想アイテムや、物品、サービスなどを販売している。フェイスブックでは、これらアイテムの購入に使える共通の通貨として2009年から「クレジット」を導入していた。
しかし、ゲームなどのアプリでは独自の仮想通貨を導入しているものが多く、ユーザーにとっては煩わしかった。
ユーザーはいったんフェイスブックのクレジットを購入し、それをアプリの仮想通貨と交換してから、仮想アイテムなどを購入しなければならなかったからだ。今後はこれに代わって、ユーザーそれぞれの国の通貨で直接購入できるようになる。
これを実現するためには、アプリの開発企業が世界各国の通貨向けの価格を個別に設定する必要があり、企業にとっては煩わしさが生じる。しかしフェイスブックは新システムのメリットを強調しており、「それぞれの国、地域の物価に合わせてきめ細かい価格設定ができるため、より効率的に収益化を図れる」と説明している。
なお、従来フェイスブックのクレジットは額面の30%を同社がアプリの開発企業から手数料として徴収していたが、新たな決済方法になってもこの仕組みは同じで、同社は従来と同じく30%を取る。つまり、この新制度でアプリ開発企業の売り上げも増えるだろうが、フェイスブックの売り上げも増えることになる。
決済ビジネス、広告収入を上回る伸び率
米ウォールストリート・ジャーナルによると、昨年フェイスブックのアプリ内で仮想アイテムを購入した人は1500万人。今年1~3月期における仮想通貨による売り上げは1億8600万ドルだった。
これは広告収入の8億7200万ドルと比べると規模は小さいが、伸び率は98%と広告収入の伸び率(37%)を大きく上回っている。