9億人超のユーザーを抱えるようになったフェイスブックは、しばしば大国の一角のように扱われる。

 世界の人口(世界人口白書2011年版・PDF)で1位の中国が約13億4760万人、2位のインドが約12億4150万人であることを物差しとすると、それももっともな視点だ。

 9億人の住人(ユーザー)がいるとすれば3位に相当し、フェイスブックが本社を置く米国が約3億1310万人で4位となる。

 大国規模の住人(ユーザー)が存在するともなると、そこに経済圏のようなものが生まれるのではないかという議論と期待が湧いてくる。それがまさに、「フェイスブック経済圏」という概念だ。

IPO後に噴出した不安。「フェイスブック経済圏」はどうなる

 「フェイスブック経済圏」は、フェイスブック上における企業の広報・マーケティング活用、連携するインターネットサービスやソフトウエアとハードウエア開発、ゲームのアプリケーション展開などの経済活動により形成される。

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 しかしながら、現状のフェイスブックの収益の大部分は広告収入によるものであり、この経済圏の威力を具体的に示すところにまで及んでいない。

 そこに募る不安感は、先般IPOしたことでよりいっそう助長されることとなった。いままでの広告依存のモデルでは、初値時点で9兆円を超える時価総額を維持し、さらに成長性を担保することが困難であろうということを、株主は見逃してくれない。

 そこに取引所のシステム障害、主幹事証券会社の情報開示を巡る問題なども絡み、株価は上場から1週間で初値の42.05ドルから24%の大幅下落、軟調局面が続いている。

 それに対して、フェイスブックは「フェイスブック経済圏」のビジョンを早急に示し、畳み込むように実現して行くことが重要だ。

 経済圏の構成バリエーションは多岐に渡るが、どのように構成したとしても鍵となるのは「決済」にあると僕は考えている。

 この決済の仕組み作りにはいろいろな可能性があると見ているが、現状では「フェイスブック・ペイメント」がひとまずの基盤となりそうだ。